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 アーマー / Iフィールド / アイランド / アクシズ / アステロイドベルト 

/ ア・バオア・クー / アフターバーナー / アポジモーター / 暗礁宙域 / AMBAC 

/ 一週間戦争一年戦争 / 宇宙攻撃軍 / 宇宙世紀 / 衛星ミサイル / エネルギーCAP 

/ エービン / エム・イー・ペー / エレズム / エリオット・レム 

/ オーガスタ / オデッサ作戦 / オールレンジ攻撃 


アーマー [armer] 

装甲のこと。ここでは特に、MSの装甲を指す。一年戦争時のMSの装甲は高張チタン合金にセラミックを挟んだハイブリットアーマー(複合装甲)が主流である。MS-05MS-06ACなどは超高張力鋼を用いたスペースドアーマー(多重空間装甲)を使用していた。特にMS-06Cは核弾頭を装填したバズーカを使用するため、空間に放射能遮断剤を注入していたが、南極条約以降は耐久性向上と軽量化のため前者が主流となっている。一方でRX-78の装甲はルナ・チタニウムと呼ばれるレアメタルを使用した三重ハニカム構造であり、ザクマシンガンの直撃に耐えることができた。当時としては考えられない程の高い耐弾性である。しかし加工性に乏しい上高価なため、量産機であるRGM-79シリーズには採用されなかった。

 

Iフィールド [I field] 

ミノフスキー粒子に電磁波を流し、結晶格子状態にした力場。ミノフスキー粒子やそれを縮退させたメガ粒子の相互作用を媒介し、斥力を生じさせる。ミノフスキー物理学に従い、ミノフスキー立方格子を圧縮したり、メガ粒子を偏向・収束させることが可能で、宇宙世紀では核融合炉の炉心反応部分を封じ込めるため、欠かせないものである。他にもフィールドモータービーム兵器ビームバリアーミノフスキークラフトなど広く活用されている。

 

アイランド [island] 

正式にはスペースアイランドと言い、スペースコロニー1基を指す。バンチと呼ぶことも有り、30〜40基のバンチで一つのサイドを形成する。サイドの中のコロニー1基をバンチとも呼び、特定の名前を持つバンチもある。

例:サイド7第1バンチ→グリーンノア1

 

アクシズ [AXIS] 

0072年にジオン公国と月企業連合体がアステロイドベルトに建設した小惑星基地。資源衛星として極秘に開発され、ソロモンア・バオア・クーを地球圏に送り出した他、ジオン木星船団の中継基地ともなっていた。一年戦争終結後は投降を拒否するジオン軍残党の多くがここに逃れ、彼らの拠点となった。その数は民間人を含む3万人、ジオン宇宙戦力の約50%であったと言われている。

しかしアクシズは巨大な岩石の塊であり、居住に必要な空間は全く確保されていなかった。そのため彼らのスペースを確保するための建設工事が始まり、0083年には球状の居住ブロック「モウサ」が完成した。この間彼らは宇宙艦艇の中での生活を強いられており、その窮乏ぶりは言語に絶したという。モウサは直径100m、幅250mの遠心重力ブロック、生産プラント、宇宙港やドックなどがあり、これ以降彼らは地球圏再侵攻に向けての準備に専念した。

0086年2月6日、アクシズは核パルス推進で地球圏に向けて発進し、0087年10月12日に到達した。彼らはグリプス戦役に介入し、ティターンズ壊滅後はネオ・ジオンを標榜、第1次アクシズ戦役でサイド3の自治権を確立したが、内紛により自滅した。

 

アステロイドベルト [asteroid belt] 

火星と木星の間にある小惑星帯のこと。小惑星と言っても直径数センチのものから数十キロに達するものまでその規模は様々であり、こうした岩石群が帯状に広り、太陽を中心に公転している。中には鉱物資源が豊富なものもあり、資源衛星として使用されたり、要塞として使用された小惑星は全てここから地球圏まで運ばれてきたものである。また、ジオンはここに小惑星基地アクシズを建設した。

 

ア・バオア・クー [A VAOA KOO] 

ジオン公国が0079年6月に完成させた小惑星要塞。ジオン本国を防衛する最強・最大にして最終の軍事拠点である。ソロモンと違ってMS工場やドッグを有し、本国が陥落した後でも戦争遂行が可能なようになっていた。ギレン・ザビ総帥の直轄であり、空母ドロスを始めとするギレン直属部隊の母港でもある。

ア・バオア・クーは円盤状のものと棒状の2つの小惑星を組み合わせた「傘」状の形を成しており、傘の部分をNフィールド、柄にあたる部分をSフィールドと呼称する。先に完成していたソロモン、グラナダと共に本土防衛ラインを形成していたが、星一号作戦により0079年12月31日に陥落、ジオン敗戦の直接のきっかけとなった。

 

ア・バオア・クー攻防戦 [Battle of A VAOA KOO] 

星一号作戦の最終目標はア・バオア・クーであった。オデッサ以来、このために準備を進めてきた連邦軍は、直前のソロモン攻略戦まで順調に軍を進めており、最後の決戦に向けて集結を開始していた。

しかしここに大きな誤算が生じる。連邦艦隊はジオンの秘密兵器であり、切り札でもあったコロニーレーザーの照射を受けるのである。この直前、デギン・ザビ公王は自らグワジン級戦艦グレート・デギンに乗艦し、レビル将軍と和平交渉を行おうとしていた。コロニーレーザーの照射は、両者が接触せんとするまさにその時行われたのである。

この攻撃はジオンにとって「誤射」であったとされているが、その実ギレン総帥の冷徹な計算が見え隠れしている。ギレンは戦争継続に関してデギンと対立しており、彼にとっては連邦艦隊もデギン公王も共通して邪魔な存在であった。その両者が同宙域で接触する和平交渉の場は、コロニーレーザーを使用するまたとない好機であったと言えよう。この一射でグワジン級グレード・デギンは撃沈、デギン・ソド・ザビ公王は戦死した。

これにより攻防戦のミリタリーバランスは大きく変化する。連邦軍はア・バオア・クーを陥とすため、余力を持った戦力を準備していたが、艦隊は1/3を喪失し、戦力差はほぼ互角となってしまった。なにより全軍を指揮し、その精神的支柱でもあったレビル将軍が戦死したのは大きな痛手であった。

しかし戦力の集中による短期決着を目論んでいた連邦軍にとって、ここで一旦撤退するという選択肢はあり得なかった。残存艦艇はマゼラン級ルザルを旗艦に再編成され、半ば強引な形で攻防戦へ突入してのである。この判断はもはや作戦とも言えぬ、賭博に近いものであったと言えよう。ソーラーシステムが使えなかったことも、連邦軍の不運と言えよう。ソロモン攻略戦で絶大な威力を発揮したこの新兵器は、衛星ミサイルの攻撃により損壊しており、使用不能であった。

一方ジオン側は総帥であるギレン・ザビ自らが要塞内にて総指揮を執り、開戦直前は全軍に向けて熱烈な演説を展開して士気を鼓舞した。決戦にそなえてア・バオア・クー常駐の兵力はもちろん、ギレン直属の部隊やキシリア傘下のグナラダからも戦力を集めていた。残っていたのはサイド3本国を防衛する、ごくわずかな戦力だけだったとされる。

攻防戦は一進一退を続けてつつも、総じてジオン側が有利に進んでいった。連邦はやはり戦力の喪失が大きく影響しており、ジオンは兵士の士気が練度の低さをうまく補完していた。特に空母ドロスを中心としたギレン直属部隊の活躍は目覚しく、

 

アフターバーナー [after burner] 

推進機の燃焼を一時的に増幅する装置。離陸、急加速時に使用する。一時的に本来のスペックを超える推進力を得ることができるが、機体にかかる負担も大きいため、長時間の使用はできない。旧世紀の航空機以来、宇宙世紀の宇宙艦艇や機動兵器にも広く採用されている。

 

アポジモーター [apogee motor] 

人工衛星を静止軌道に定着させるために使用する固体ロケットのこと。アポジ(楕円軌道の最遠点)で点火するモーター(固体燃料ロケット)なのでこう呼ばれ、アポジ・キック・モーターとも言う。MSやMA、更に宇宙艦船などが使用する推進機、姿勢制御機はアポジで点火するとは限らず、また固体燃料ロケットでもない。従ってこれらをアポジモーターと呼称するのは明らかな間違いである。ここでは主に推進機として使用するものをスラスター、姿勢制御に使用されるものをバーニアと呼んでいる。

 

暗礁宙域  

地球圏には、月と地球との間の重力不安定により、宇宙空間としては比較的高密度で空間挟雑物が集積している宙域がいくつか存在する。こうした宙域には戦闘で破壊されたコロニーの残骸、小惑星基地やコロニーの建設時に出た廃材なども集まっており、宇宙艦船の航行は極めて危険である。従ってジャンク業者なども滅多に近寄らないが、一方でそれを利用し、極秘裏に開発された兵器の試験などが行われることもあった。一年戦争当時のジオンは、ペズンに近いコレヒドール暗礁宙域でしばしばこうした実験や試験運用などを行っている。

 

AMBAC(システム) [Active Mass Balance Auto Control(System)] 

基本的に宇宙船の機動・姿勢制御は、推進剤を燃焼し、スラスターバーニアを噴射することで行われる。しかし宇宙戦闘において要求される迅速な運動行動・姿勢制御にはより多くのバーニアと大量の推進剤が必要となる。機体のサイズは必然的に大型化し、大型化した機体が高い機動力を保つためにはより多くのバーニアと推進剤が必要となってしまう。この悪循環を断つためMSは機体を人間型とし、その腕や脚といった四肢を利用しAMBAC(アンバック)を行うことで推進剤の消費を抑え、同時に高い運動性能を実現している。

AMBACは「能動的質量移動による自然姿勢制御」を意味し、機体の一部分をある方向に動かすことで別部分がその反作用を受け、逆方向に移動する性質を利用して機体全体の姿勢制御を行うものである。宇宙空間では不必要かつデッドウェイトになると思われたMSの腕や脚は、逆に効率の良い姿勢制御を行うための重要な機能を持つこととなった。AMBACはMSが人間型をしている最大の理由である。

AMBACは概念としては難解なものに思えるが、原理そのものは単純であり、我々が日常的かつ無意識に体験していることである。我々が重力下で(宇宙空間でもかまわない)体のバランスを崩したとしよう。例えば片足で立っているときや、綱渡りをしているときなどである。その時我々は、全く無意識のうちに両腕を広げ、あちこちに向けたり振り回したりしてバランスを取り戻そうとする。これがAMBACであり、MSも腕や脚を使って同じ事を行う(もちろん、重力下でも)。

健常な人間はこれをほとんど意識せずに行うが、それは赤ん坊の這い這いに始まり、やがて2本の足で歩けるようになる過程で自然に習得していくものである。しかしこれを機械に実行させることが如何に困難であるかは容易に想像できるだろう。MS-01で初めてAMBACを実用化したジオニック社は、実質的にMSという兵器そのものを発明したことになる。

グリプス戦役時にはバインダーと呼ばれる、ムーバブルフレーム接続の作動肢を腕や脚以外に持つMSが多く登場する。これらの多くはそれぞれの機能を果たすほか、AMBACを行う作動肢として高い運動性能と機動力を実現している。

 

一週間戦争 [One week War] 

一年戦争開戦から0079年1月10日までの戦闘を指す。かねてより独立戦争の準備を進めていたジオン公国は1月3日7時20分、宣戦布告通達のわずか3秒後サイド1、2、4及び連邦軍パトロール艦隊に攻撃を開始した。特にコロニーに対してはNBC兵器を無差別投入し、約28億人が数時間足らずで即死した。更にジオンはサイド2第8バンチのコロニー「アイランド・イフィッシュ」をラグランジェポイントから切り離し、ジャブローへ落下させる「ブリティッシュ作戦」を敢行した。

 

一年戦争 [One year war] 

「ジオン独立戦争」とも言い、一般的には0079年1月3日、ジオン公国による宣戦布告と奇襲攻撃から0080年1月1日グラナダでの終戦協定までの約1年間、地球連邦政府とジオン公国との間で戦われた戦争を意味する。しかし熱狂的にジオンを支持する研究者の中にはグラナダの終戦協定を法的に無効と主張するものも少なくない。その根拠とされるのが協定締結の主体の問題である。

宣戦布告の主体がジオン公国政府であったのに対し、グラナダで終戦協定を締結したのはジオン共和国である。ア・バオア・クー陥落後、公国の実権を握っていたザビ家の指導者達がことごとく戦死し、ジオンは瞬間的ながら政治的空白が発生した。そこで公国議会のダルシア首相が共和国臨時政権を樹立し、この政権が連邦との終戦協定を締結する主体となったのである。

ここで成立した臨時政権はザビ色を排除したものであった。ダルシア首相を始め、ザビ家独裁の下で事実上失脚していた穏健派、月企業連合体の幹部、名誉回復したダイクン政権時代の政治家などである。彼らの政権樹立は政治的空白を埋めるためとは言え、実質的な反ザビクーデターであった。そのためザビ家を信奉する者の中にはこの臨時政権と終戦協定を無効とする考えが根強く残ることとなった。

一年戦争は宇宙世紀における最初で最大の戦争である。そのうえ初期の段階で総人口の約半数が死亡するという人類史上最悪の戦争でもあった。この戦争において地球連邦政府はその硬直した官僚制の弊害と自らの無能ぶりを見事に露呈し、宇宙世紀の矛盾をくっきりと浮かび上がらせることとなる。結果として連邦政府は勝利したものの、そこから得たものは何もなかった。これ以降、地球連邦政府に対する宇宙移民の不満はますます増大・顕在化していき、時代は昏迷していくのである。

兵器開発史上は、目覚しい発達が見られる。ミノフスキー効果の積極的な軍事利用はそれまでの兵器体系を根底から覆し、一挙に過去の遺物としてしまった。一方で台頭した新兵器モビルスーツは圧倒的な戦果を挙げ、その後の兵器開発に決定的な方向づけを与えた。一年戦争後の戦略・戦術・兵器体系は全てMSを根幹として組み立てられるようになり、これ以降の宇宙世紀における主力兵器として長く君臨することになるのである。

 

宇宙攻撃軍 

ジオン軍の分割・再編成により成立した一軍。UC0079年5月以降は宇宙要塞ソロモンを本拠地とし、ドズル・ザビ中将を総司令官とする。MSを運用しながらも宇宙艦艇を主戦力とするのが特徴で、ジオン宇宙戦力の中核を占め、月、サイド7、ルナツー周辺を除くほとんどの制宙権を握っていた。

ジオン軍の内部対立という観点から見ると、宇宙攻撃軍はキシリア突撃機動軍に対する一定の歯止めとして機能したと言える。この背後にはドズル中将に加え、キシリアと激しく対立していたギレン・ザビ総帥の意向が強く働いていたことが推察される。その意味では、ドズルと宇宙攻撃軍はギレンの政争の道具としてうまく利用されたと言えるだろう。

大戦末期、連邦軍の星一号作戦によってソロモンは陥落し、ドズル中将も戦死した。そのため宇宙攻撃軍の残存戦力は突撃機動軍へと編入され、ジオン公国軍は再び一本化されることとなる。もっともその1週間後には終戦となったため、再編成されないままの戦力も多かった。

 

宇宙世紀 [Universal Century] 

地球連邦政府成立、コロニーの建設開始を経て、本格的な宇宙移民が開始された。連邦政府はこれを以って宇宙世紀に移行、0000年から始まる宇宙暦を一律に採用した。宇宙暦はグリニッジ標準時を基にしており、これには各方面から異論もあったが、連邦政府はこれを強力に推進した。結果論になるが、こうした連邦政府の体質が一年戦争という災厄をもたらしたとも言えよう。宇宙生活者のほとんどが未だ地球に依存しなければ生きていけないという状況は、大戦後もいくつかの紛争の原因となっている。

 

衛星ミサイル [asteroid missile] 

小惑星の岩塊に化学燃料ロケットを取り付け、敵宙域に向けて発射する兵器。原始的ながら迎撃はほとんど不可能で、回避するしかない。対MSには不向きだが、対艦隊戦には威力を発揮する上、何よりコストパフォーマンスが高いので要塞攻防戦にはしばしば使用される。

 

エネルギーCAP [energy capacitor] 

宇宙世紀で最も一般的な兵器であるメガ粒子砲は、ミノフスキー物理学によって初めて実現した兵器である。メガ粒子砲には大規模な設備と大電力が必要であり、一年戦争以前は艦船クラスでなければ搭載は不可能と思われていた。エネルギーCAPはMSクラスの機体にメガ粒子砲の搭載を可能とする画期的な技術である。

エネルギーCAPはIフィールドによって縮退させられ、メガ粒子になる直前のミノフスキー粒子をそのままの状態で保持・蓄積できる。これによってそれまでメガ粒子砲に不可欠ながら大きなスペースを要したエネルギーコンデンサーを省略でき、MSクラスの機体にも搭載が可能となった。エネルギーCAPに封じ込められたミノフスキー粒子をメガ粒子にまで縮退させるには、MS側から電力を供給することで行う。ここで必要な電力はMSクラスでも十分に供給できるものであり、これによってMSはメガ粒子砲を標準装備できるようになったのである。

しかし蓄積したミノフスキー粒子を使い果たしてしまうと、母艦や基地などで再チャージしなければならない。そのため戦後のMSの多くはパッケージ化されたエネルギーCAPを複数、マガジンとして携行している。

 

エービン [ABINE] 

メガ粒子砲などに関するレーザー発振制御機器の開発メーカー。主に宇宙艦艇の主砲クラスの大出力砲に使用する部品の製造を行っている。

 

エム・イー・ペー [MIP] 

ジオンの兵器メーカー。宇宙高機動機の開発に実績があり、ミノフスキー粒子散布下における有視界戦闘を行う新型兵器のコンペでジオニックと競合した。ここでMIPはジオニックのモビルスーツに対し、MIP-X1を提出している。結果として競合には敗れたが、このMIP-X1は後のモビルアーマー開発の雛形となり、その後MIP社はMAX-03アッザムやMA-04Xザクレロ、MA-05ビグロ、MA-06ヴァル・ヴァロなどを開発した。

 

エレズム 

地球聖地主義とも言う。宇宙移民が進むにつれ、コロニー生まれで地球を知らない世代が増えるようになった。未知の惑星に対する憧れは神秘主義的信仰に近いものとなり、やがて彼らは地球を絶対的な存在と考えるようになる。

彼らにとって地球居住者は、聖地である地球を汚染するだけの憎むべき存在であり、地球環境保護運動などとも連帯して、一つのムーブメントへと成長していった。地球に残った人間の多くがいわゆる「エリート」であり、「持たざる」が故に宇宙への移民を余儀なくされた人々の嫉妬・怨恨もこれに含まれていたことは容易に推察できる。

エレズムの発生は0040 年代初頭とされ、公式な記録が残っているのは0044年である。その後エレズムはジオン・ズム・ダイクンの提唱するコントリズム(サイド国家主義)と融合し、やがてジオニズムとしてジオン共和国公国の大きな精神的支柱となった。

地球を聖地とする思想は一方で地球居住者を「選ばれたエリート」と考える思想とも親和性を示しており、グリプス戦役でティターンズが標榜した「地球至上主義」との関連性が指摘される。また、第2次アクシズ戦役においてネオ・ジオン総帥シャア・アズナブルが決行した「地球寒冷化作戦」も、その思想的背景にはエレズムの残滓とも言える影響が見て取れる。

 

エリオット・レム 

「一年戦争のエースパイロット」その他のエースパイロット」「エリオット・レム少佐」参照。

 

オーガスタ 

北米にある連邦軍基地。RX-78NT-1を開発。はいいんだけどさあ、当時北米はキャリフォルニアはじめジオンの勢力下だったわけで、その辺どうなんだろう。キャリフォルニア陥落後、新しくできた基地なんだろうか。てことは、ジャブロー攻略戦以降になるから、11月より後ってことか?いやそれじゃやっぱりおかしいよな。つまりキャリフォルニアが機能していたころからオーガスタはあったってことか。やれやれ。

 

オデッサ作戦 [Operetion ODESSA] 

UC0079年11月7日(オデッサ・デー)から始まった連邦軍の一大反抗作戦。開戦以来防戦一方だった連邦軍が周到な準備の下に起した初めての本格的なリアクションであり、地球上での最大規模の作戦である。その目的は東ヨーロッパ、黒海周辺にある地球最大の鉱物資源採掘基地の奪還であり、最終的には地球上での勢力安定を以って来るべき宇宙への反抗作戦の足場を固めることであった。

これなくして「星一号作戦」の遂行は有り得ず、オデッサの成功はその後の計画の前提となっていたのである。従って失敗は許されず、作戦には地球上の連邦軍戦力の2/3が投入された他、遂行における最高責任者には猛将レビル将軍が抜擢され、全権を委ねられた。

当時オデッサの資源基地からは戦略物資として重要なレアメタルなどが採掘されており、大戦当初ジオンによって占領されて以来、営々と貴重な物資を宇宙へ打ち上げていた。基地の責任者は地球攻撃軍マ・クベ大佐であり、オデッサの戦闘においてもジオン側の指揮を執っている。

地球攻撃軍はキシリア・ザビ少将を長とする突撃機動軍の下部組織であり、ここから打ち上げられた戦略物資のほとんどがグラナダ基地をはじめとする突撃機動軍管轄下の施設へ運び込まれたとされている。キシリアはギレン・ザビ総帥ドズル・ザビ中将と政治的に対立しており、これらの戦略物資は戦中、或いはジオンが連邦に勝利した後に、キシリアが政局を有利に運ぶために運用・備蓄されていたと言われている。

戦闘は3日間続き、最終的には連邦軍の勝利に終わった。これをオデッサの戦いと呼ぶ。ジオン側の敗因としてはいくつか挙げることができるが、連邦の周到な準備とそれによる戦力差が最大の要因だろう。ミクロ的にはジオンに情報を提供していた連邦軍エルラン中将のスパイ行為発覚、ジオン側の英雄であったエース部隊「黒い三連星」が全滅させられたことによる士気の低下なども挙げられよう。戦局を不利と感じたマ・クベ大佐は南極条約で禁止されている核兵器を投入したが、これも失敗した。

この戦闘は連邦が初めて本格的にモビルスーツを実戦に投入した戦いでもある。試験的に運用されていたホワイトベース所属のMSや、試作されたRX-75-1〜3プロトタイプガンタンクを始め、先行試作されたRGM-79ジムも少数ながら投入されたようである。もっともこれらはあくまで試験的なものであり、具体的な戦力としてジムの実戦配備が進むのは同年11月後半からである。

オデッサの勝利により、地球上でのミリタリーバランスは一変した。基地司令のマ・クベ大佐は宇宙へ逃れ、これ以降ジオン地上戦力は瓦解を始める。連邦は「星一号作戦」へ向けた足場作りができたのである。その後ジオン地上軍は劣勢を挽回するため「ジャブロー攻略作戦」を決行するが失敗に終わり、地上でのジオン戦力は少数のゲリラを除き、完全に崩壊するのである。

 

オールレンジ攻撃 [all-range attack] 

サイコミュを搭載したMSMAは、単位時間においてパイロットが機体へ伝達可能な情報量が爆発的に増加する。この有り余る情報量を使い、機体に装備された複数の攻撃端末に同時に異なる操作を与えることが可能となった。こうして行われる特殊戦術がオールレンジ攻撃である。本体と分離し、自由な機動を行う2〜10数機の攻撃端末を目標周囲に展開し、全方位から複合攻撃を行う。ニュータイプパイロットのみが使用可能だが、理論上回避は不可能で、究極の戦術とも言われる。

攻撃端末はそのコントロール方法によって有線と無線とに分類される。有線タイプは本体とケーブルで接続され、レーザー通信によってコントロールと電力の供給が行われる。MAN-03ブラウ・ブロやMS-06Z、MSN-01、MSN-02ジオングなどがこのタイプとして知られ、比較的初期に確立された技術である。

一方大戦末期に実用されたMAN-08エルメスは一年戦争中唯一の無線タイプで、ビットと呼ばれる無人小型MAを攻撃端末として使用する。ビットは単独で熱核反応炉を持ち、ビーム砲で攻撃するほか、自ら爆弾となって目標に体当たりするものもあった。ビットはミノフスキー通信を利用してコントロールされており、ミノフスキー粒子散布下でも影響を受けない。

グリプス戦役以降は、ニュータイプ能力を持たない一般のパイロットでも使用可能な簡易サイコミュやインコム・システムが開発されている。インコムは有線の攻撃端末で、コンピューターの補佐によって2次元的ながらオールレンジ攻撃が可能であった。また無線コントロールながら熱核反応炉を持たないファンネルも実用化されている。インコムやファンネルは数回の射撃を行う度に本体に戻り、エネルギーと推進剤をチャージしていた。

   


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