MS-01〜03 試作実験機

(EXPERIMENT TESTTYPE)


UC0073年、2足歩行をする人間型兵器の試作第1号機が完成した。軍はこの新兵器に「モビルスーツ」という呼称とMS-01という形式番号を与え、対外的には作業用の宇宙機器として発表するとともに更なる改良を進めた。MS-01はまったくの基本フレームのみで製作され、装甲すら施していなかったが02、03と試作を重ねるうちに次第に本格的な実用兵器としての性格を固めていった。その過程で求められたのは、高い汎用性である。

実際開発を進めながらもこの新兵器の有効性については軍内部からの疑問の声が上がっていた。また積極的に開発を推進していた者たちにとっても、この新兵器が具体的にどのような運用をされていくのか、正直言って明確なヴィジョンはまだ持てなかった。それでもこの海のものとも山のものとも知れない新兵器の開発が進められたのはジオンが若い国家だったからであり、組織として進取性と柔軟性を持っていたこと、そして同時に連邦に対する脅威が大きく、来るべき独立戦争において絶望的になるであろう彼我の戦力差を少しでも縮める可能性のあるものならば、それこそワラにでもすがりたかったという二つの理由が挙げられよう。

それでも先の見えないまま莫大な予算だけを食いつぶす新兵器の開発には批判や疑問も多く、運用方法も確立されていないうちは逆にどのようにでも使えるように高い汎用性を追求するしかなかったのである。この高い汎用性の追求は、MS-06ザクシリーズが成功を収め、MSの運用がある程度確立された時点で終了する。それ以降は逆に局地戦用MSの開発が進められ、MSは特殊化の道をたどっていくことになる。

MS-01はエンジンの燃料搭載量、冷却システムの作動不良に悩まされ、到底実用に耐えうるものではなかった。これを改良したMS-02の開発と同時にスタッフを増強し、並行してMS-03の開発が進められたが、この時点で開発はジオニックから軍工廠へと移されており、ジオニックの技術者達は技術将校というかたちで軍へと移籍している。また、後にMSのパイロットマニュアル作成に貢献するエリオット・レム少佐もこの時期からテストパイロットとして開発に参加している。

MS-03は機動性と耐弾性の向上を目指して開発が進められ、試験的ながら初めて装甲を施したが機動性の低下、ジェネレーターのパワー不足を招き、これらは引き続き改良が続けられた。MS-03は用途を異にするものとしていくつかの試みを導入した4機が製作されたが、MSの基本的な構造が完成するのはMS-04の完成を待たねばならない。しかし当時の実用試験の記録では、その高い機体価格と1機あたりの人材要件の問題さえ解決されれば、兵器としての攻撃能力は非常に高いものであると評価している。


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