MSM-04X プロトタイプアッガイ

(PROTOTYPE ACGUY)


MSM-03ゴッグは初の実戦型水陸両用MSとして、大戦中期から活躍した。しかし地上での機動力不足と武装の弱体化が目立つようになり、新型の改良機が開発されることとなる。この新設計機は後にMSM-07ズゴックとして結実するが、開発初期の段階から指摘されている問題がいくつか存在していた。機動力と武装を向上させれば、機体が更に大型化することが予想されたのである。

ゴッグは地上用の重MSドムと比べても自重量で約20t、総重量で約80t近くも上回る超重MSで、これ以上の機体の大型化は他にどのようなメリットがあったとしても、整備面、生産コスト面などで大きなデメリットとなるのは確実であった。

機体をゴッグ程度のサイズに保つ新技術の研究も進められたが、それと並行して武装や出力を多少落としてでも、小型で軽量な水陸両用MSの開発が決定した。こうして誕生したのがアッガイである。

開発を担当したのはジオニック社である。ジオニックはザク以来、MSメーカーの老舗であったが、水陸両用機に関しては水流エンジンのノウハウを持つ、ツィマッド社に遅れをとっていた。この試作機でも水流ジェットエンジンの開発には手を焼いており、水陸両用というより湿地専用に近い設計となっている。

ジェネレーターは開発・生産・運用コスト削減のため、MS-06JザクIIのものを転用する予定であった。しかし水陸両用MSとしては、あまりにも出力が不足するという難題に直面する。これは水陸両用MSが根本的に持つ矛盾によるものであった。

水圧に耐えるための強固な機体構造と装甲は、陸上でも高い防御力を発揮するが、一方で陸上での運動能力を低下させる。この重い機体を地上でもある程度動かすためには、高いジェネレーター出力が必要となるのである。しかしアッガイのコンセプトはゴッグより生産・運用コストの低いMSの開発であり、大出力ジェネレーターの搭載はこの開発自体を否定しかねない。

ジオニックは苦慮の末、同じザクのジェネレーターを2基搭載することでこれを解決した。それぞれのジェネレーターは搭載スペースを確保するため多少規模を縮小しており、結果としてアッガイの出力はゴッグにやや勝り、ザクの2倍弱程度となった。機体のサイズはゴッグとほぼ同じであったが、生産性・運用コストはゴッグと比較にならないほど低く抑えられたのである。

ザクのジェネレーターを2基搭載する、というアイデアはこうした経緯から生まれた苦肉の策ではあったが、結果として思わぬ副産物も生み出した。大出力が必要なのは主に陸上活動時であり、水中では1基のジェネレーターでの活動、いわゆる「片肺」での航行が可能となったのである。片肺航行時に機体から排出される熱量は水陸両用MSとしては考えられないほど小さく、ステルス性の面で高い効果が期待されるようになった。そのため量産機ではその方面での改修が進められている。

試作機の武装は量産機と変わらない。右腕にグレネードランチャー、頭部に105mmバルカンを4門装備する他、多くの水陸両用MSと同じようにフレキシブルアームとアイアンネイルを装備していた。火力面では他の水陸両用MSに見劣りするが、運用目的を考えれば十分と言えよう。出力上は問題なかったが、機体の性格上ビーム砲の搭載は見送られている。


MSM-04X プロトタイプアッガイ

全 高 ? m 自重量 ? t 総出力 1870kw 水中速度 ? kt
頭頂高 ? m 総重量 ? t 総推力 ? t


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