MSM-07 ズゴック前期型

(Z'GOK)


史上初の水陸両用MSとして活躍したゴッグに代わり、MIPが開発した新型機がこのズゴックである。開発メーカーは違うものの基本的にはゴッグの後継機と言え、ゴッグで指摘された問題を解決する形で改良が進められている。ゴッグの水中行動能力は優れていたが、陸上での運動性能には大きな問題があり、上陸作戦での被害は無視できないものであった。従ってズゴックの開発はここに主眼が置かれている。

まず第1に、大幅な機体の軽量化が挙げられる。これは装甲素材と機体構造の両面で改良が進んだためで、装甲厚はゴッグに劣るものの、耐久性そのものは同等かむしろ向上していると言われる。ゴッグより更に丸みを加えたフォルムは水圧に耐えるだけでなく、被弾経路もよかった。

またゴッグをはるかに上回る大出力のジェネレーターも大きな特徴である。小型でより大きな出力を持つ改良型で、後から開発がスタートしたアッガイよりも完成が遅れたのはこのためと言われている。それだけの成果はあったと言え、ズゴックの強いパワー、高い火力を支えている。

大型ジェネレーターの搭載を可能にしたのは、ズゴックが水陸両用MSながら空冷式の冷却機構を兼備していることである。陸上での水陸両用MSは、機体内のバラストタンクに取り込んだ水を冷却水として使用しているため、陸上での行動時間が制限されていた。しかしズゴックは水冷・空冷のハイブリット冷却を行うことにより、出力強化・陸上での行動時間の延長を可能にしたのである。

更にゴッグの反省を踏まえ、背部にジャンプ用の化学燃料ロケットを装備している。これらの改良によってズゴックは、水陸両用MSとしては驚異的な陸戦性能を持つに至った。軽い機体に加え、高いアクチュエーターのパワーを持つズゴックは、並みの陸戦用MSに匹敵する機動力を有していたばかりか、陸戦用MSを凌駕する耐久性と大出力・大火力をも持ち合わせた傑作機だったのである。

また武装の充実にも触れておきたい。接近戦用と中・長距離戦用に3種類の武装がバランス良く装備されており、この点でもゴッグと比べて大いに前進したと言える。まず接近戦用としては3本爪のアイアンネイルを装備しており、これは他の水陸両用MSと変わらない。しかし出力が高い分、そのパワーは相当なものであり、水陸両用MS特有の堅牢さも加わって高い格闘性能を誇った。

また頭部には240mmロケットランチャーを6門装備されており、これだけでもゴッグの火力を上回る。その上両腕部先端にはメガ粒子砲が装備されており、これが主武装となる。ゴッグにもビーム砲は搭載されていたが、出力が低く、ザクバズーカ程度の威力しかなかった。ズゴックのビーム砲はエネルギーCAPを使用しないタイプではあるものの、高効率で収束率も高く、海上から航空機を撃墜した例もあるほどである。また自由度の高い両腕部先端に装備させたことで射撃範囲が大幅に向上しており、実質的な戦闘能力も高い。これは既にMSM-04アッガイで実証済みであった。

一方でズゴックはMIP社が初めて開発した実戦型MSであり、これはジオニック色を排除した一大MS開発プロジェクト「ペズン計画」の一環として進められた。こうした状況は、アッガイを開発したスウィネン社と全く同様である。アッガイはスウィネン社の最終目標である汎用MSにまで発展することはできなかったが、ズゴックはその陸戦性能の高さから特殊MSゾゴック及びガッシャを生み出している。これはズゴックが如何に高い完成度・陸戦性能を誇っていたかを証明していると言えるだろう。

総体としてズゴックは、大戦時の水陸両用機としての最高傑作機と言えよう。出力、耐久性、陸上での機動力、武装の充実、どれをとっても群を抜いており、また高いレベルでの機体バランスを実現している。S、E型といった発展型もマイナーチェンジに過ぎず、ズゴックの基本設計の高さを証明するだけである。敢えて言うならば水中での運動性能であるが、これも大出力の水流ジェットエンジンにより、速度ではゴッグを上回っている。

ズゴックはその高い陸戦能力を評価されており、従って実戦配備も沿岸地域を中心に進められている。その他には北米・西アフリカ・ミクロネシアからユーラシア大陸北岸などがあり、広い地域に渡っている。これらに配備されたズゴックは上陸作戦のみならず海上補給路の寸断にも活躍し、ジオン海上戦力を支えたのである。


MSM-07 ズゴック前期型

全 高 18.4m 自重量 65.1t 総出力 2480kw 水中速度 103kt
頭頂高 18.4m 総重量 96.4t 総推力 83.0t


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