MSM-04G ジュアッグ
(JUAGG)
高いステルス性能を持ち、偵察・隠密任務などで活躍したアッガイだが、もう一つの大きな特徴があった。ジェネレーターを始め幾つかの部品がMS-06JザクUと共用し、生産・運用コストも低いアッガイは、水陸両用MSとして無類のコストパフォーマンスを持っていたのである。しかし火力・格闘性能の見劣りは否めず、この点での改善が望まれた。
一方で、ジオンではジャブロー侵攻作戦が計画されていた。南米のジャングル奥深くに存在するジャブローに対し、湿地で高い能力を発揮するアッガイは正に適任であった。このためアッガイを中心としたヴァリエーション展開が計画されたのである。
こうして開発された試験機がこのジュアッグとアッグガイである。いずれもアッガイに足りないとされた能力を付加しており、このジュアッグは火力が強化された。まず機体前面に4門のメガ粒子砲が装備されており、これはジュアッグ最大の特徴となっている。
ベースとなったのは量産機のアッガイではなく、その前段階であるプロトタイプアッガイが使用された。これは量産機が完全な水陸両用機であったのに対し、試作機は湿地専用として設計されていたからである。
ベース機の設計上のジェネレーター出力はゴッグとほぼ同等であり、ビーム兵器搭載には十分な筈であったが、搭載には慎重な配慮が加えられた。ジェネレーターはアッガイの約1.5倍の出力を持つ大型のものに換装されている他、機体の冷却システムにも余裕を持たせた。
機体各所の冷却機能が強化されている上、頭部前面には象の鼻のように長大な放熱ダクトが設置されている。この放熱ダクトを含む巨大な頭部は本機の大きな特徴となっており、後頭部は射撃管制システムを含むレドームである。
しかしそれでもビーム砲にはトラブルが続出した。エネルギーCAPを使用しないタイプのため電力を消費する割には威力が低く、作動不良も多発した。一旦は下方の2門をダミーとし、上方2門のみでテストを継続したが、最終的に搭載は断念された。従って全てのビーム砲がダミーとなっている。
一方で火力を増強するため、両腕のマニュピレーターを廃して3連装320mmロケットランチャーを装備させた。MSとしての汎用性は著しく低下するが、元々それ程汎用性を追求した訳ではない水陸両用MSである上、試験機であるため問題は認められない。
この時得られたデータは、アッグガイとともに新型汎用MSの開発に活かされる予定であった。しかしスウィネン社がその後汎用MSの開発を行った形跡はない。その理由については不明だが、ライバルがこれ以上増えることを嫌ったジオニック社から政治的圧力がかけられたとする説もある。いずれにせよ、ジュアッグとアッグガイの成績が決して芳しいものではなかったことは間違いないようだ。ただ、ジュアッグで得られた射撃管制データはMS-12ギガンに活用されており、また機体前後面に固定ビーム砲を搭載したMSM-10ゾックの開発にもその影響が見られる。
ジュアッグの武装は前述の通り、3連装ロケットランチャーを2門と固定式ビーム砲4門である。繰り返しになるが4門のビーム砲は後に取り外され、ダミーとなっている。またロケットランチャーを装備する前のマニュピレーターは水陸両用MSとしては珍しく5本指で、これは来るべき地上用・汎用MSをにらんでのことであったと推測される。
MSM-04G ジュアッグ
全 高 | 17.4m | 自重量 | 137.3t | 総出力 | 2660kw | 水中速度 | 55.0kt |
頭頂高 | 17.4m | 総重量 | 198.7t | 総推力 | 97.9t |
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