MSM-03 ゴッグ

(GOG)


試作機であるMSM-03-1を経て、量産ラインに乗せられたのがこのMSM-03ゴッグである。量産されたゴッグはプロトタイプの外装を整理した程度で、大きな相違はない。ゴッグは実戦配備された初の水陸両用MSで、ザク系MSを凌駕する重武装、重装甲は当時としては驚異的であった。水圧に耐えるための重装甲は当時の常識を超えるものであり、アイルランドのベルファスト基地における戦闘では、RX-78-2 の使用するハイパーハンマーを受け止め、そのパワーを見せ付けた。その高性能は大戦後半に登場した連邦製MSとも十分渡り合えるものであった。

ゴッグの主な運用として沖合いに展開したマッドアングラー級やユーコン級の潜水母艦から発進し、その水陸両用性能を活かして上陸作戦を行うものがある。これで連邦港湾基地の襲撃作戦などを行い、大きな戦果を挙げた。水陸両用MS独特の運用方法はゴッグにおいて確立したのである。また水陸両用MS独特の長い行動半径を活かし、単独で哨戒任務などを行うこともあった。

こうした作戦を遂行する上で、障害となるのが近海に広く敷設された機雷であった。ゴッグを始めとする水陸両用MSの重装甲もしばしばこの機雷の被害を受けており、また敵に発見されて奇襲作戦に支障をきたすことも少なくなかった。そこで装備されたのがフリージーヤードと呼ばれる特殊武装である。

フリージーヤードは旧来から潜水艦などが使用していた発泡性ケミカル剤を発展させたもので、水中を航行中にゴッグの頭頂部から発射される。その後特殊なプラスチックでできたゲル状の保護膜が機体全体を覆うように広がり、厚さ約1m前後のシールドを形成する。シールドは機雷や爆雷を絡めとって無力化してしまう上、ソナーによる探知を妨害する効果もあった。

これは地球侵攻作戦当初に考案されたもので高い有効性を示したが、一方で上陸時の投棄や熱核水流ジェットのウォーターインテークの閉塞など、運用上の問題も多かった。大戦末期には機体の装甲が向上したこともあり、ほとんど使用されることはなくなったが、侵攻作戦当初連邦はこれに有効な対抗策を講じることが出来ず、これもあって地球の制海権は完全にジオンの手に落ちた。

ゴッグの武装はプロトタイプと同じく腹部の固定ビーム砲2門と、魚雷発射管2門である。ビーム砲はエネルギーCAPを使用しないもので、従って威力はザクバズーカ程度しかなかった。大戦中期から活躍したゴッグも末期にはさすがに旧式化し、ズゴックにその地位を奪われていった。そのため統合整備計画にのっとって再設計され、MSM-03Cハイゴッグが誕生している。


MSM-03 ゴッグ

全 高 18.3m 自重量 82.4t 総出力 1740kw 水中速度 75kt
頭頂高 18.3m 総重量 159.4t 総推力 121.0t


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