MSM-04N アッグガイ

(AGGUY)


高いステルス機能とコストパフォーマンスを持つアッガイは、一定の成績を収めた。開発元のスウィネン社はこれを足がかりに地上用・宇宙用MSの開発にも参入すべく、アッガイをベースにした試験機を製作することとなる。アッガイはかねてより火力・白兵戦能力の不足が指摘されており、このアッグガイでは白兵戦能力の強化が行われた。火力を増強した機種としては、MSM-04Gジュアッグが試作されている。

開発は来るべきジャブロー侵攻をにらみ、湿地専用機として進められた。そのため設計のベースには水陸両用機のアッガイではなく、アッガイの前段階として試作されたプロトタイプが使用されている。プロトタイプは、将来的に地上用MSの開発をにらみ、地上での性能を重視して開発されていたからである。

強化すべき白兵戦能力に関しては、当時その点を最も評価されていたMS-07Bグフを参考にした。全体の装甲を整理し、近接戦闘で重要視される部分が強化されている。また固定武装として片腕にヒートロッドを2本ずつ、計4本装備した。これはグフを参考にしたためとされるが、実効性については疑問が残る。

グフの装備の中でもヒートロッドは賛否両論にわかれた武装であった。熟練パイロットによって効果的に使用された例もあったものの、多くのパイロットは十分に使いこなせず、現地改造で取り外されたものもあったほどである。そのヒートロッドを敢えて採用した背景にはグフを開発したジオニック社からの圧力があったとする説もある。当時ジオニックはMSの独占体制をツィマッド社に侵され、更にライバルが増えることに強い警戒心を抱いていた。

後にヒートロッドに代わり、MSM-07ズゴックのものを模した3本爪のアイアンネイルがテストされた。これはズゴックからの流用ではなく、多少サイズを縮小した新設計である。ヒートロッドが大した効果を挙げられなかったのは容易に推察できるが、このアイアンネイルもパワー不足からズゴック程の効果は出せなかったようである。

アッグガイの最大の特徴は、頭部の巨大な複眼式センサーである。これまでのMSで一般的だったモノアイよりも多くの情報を多角的に取り入れることができるとして、試験的に採用された。そのためアッグガイは全MSの中でも異例の巨大な頭部を持つに至っている。複眼式センサーは同じセンサーを数十個並べ、それぞれが同時に一つの目標を捕らえることでより正確で立体的な戦況把握ができるものとされていた。そのためコックピットもパイロットにより多くの情報を与えることができる特製のものが用意されている。

結局これはコストに見合う効果が得られなかったため、本格的に採用されることはなかったが、研究・改良は続けられ全天モニターの原型となっている。なお、同時期に開発がスタートしたMA-04Xザクレロも同方式を採用している。

こうして完成したアッグガイは、ジュアッグと共にデータ採集のため数々のテストを受けた。その結果はスウィネン製汎用MSに活かされる筈であったが、様々な事情から汎用機の開発は断念された。ジュアッグの射撃管制システムは後のMS-12ギガンにも活かされたが、アッグガイの流れを汲むMS開発は今のところ確認されていない。残念ながら、アッグガイは失敗作であったと言わざるをえない。予定されていたジャブロー攻略作戦にも、使用された記録はない。

アッグガイは純粋な格闘性能強化型として開発された試験機のため、前述のヒートロッド4本とアイアンネイルが主武装である。ただ、近接戦闘用として頭部に105mmバルカン砲2門を装備していた。


MSM-04N アッグガイ

全 高 19.0m 自重量 113.7t 総出力 2010kw 水中速度 50.0kt
頭頂高 19.0m 総重量 171.6t 総推力 109.0t


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