EMS-05 アッグ
(AGG)
一年戦争以前から、来るべき地球侵攻作戦に備え、ジオンは様々な局地戦用MSの開発を進めていた。水陸両用機、砂漠・熱帯仕様機などはその代表だが、実際に地球での戦線が拡大していくにつれ、当初考えられていたヴァリエーションでは対応しきれない局面がしばしば報告されるようになった。
MSが作業機械としても有効に運用されたことは言うまでもないが、万能という訳ではなかったし、特定の環境下においては在来の兵器・作業機器に一日の長があるのは当然であろう。こうした構造がより強く浮き彫りになったのは東南アジアをはじめとするジャングル・湿地帯であった。
また連邦軍の本拠地がある南米のジャブローはアマゾン河流域のジャングルの中にあり、水泥入り交じったこの地帯を質量のあるMSが踏破するのは容易ではなかった。ジオンは当初コロニー落としにより、ジャブローを一気に壊滅する戦略であったが、第1次・第2次ブリティッシュ作戦はいずれも失敗に終わっており、ジャブロー攻略は一時的に断念せざるを得ない状況となっていた。
その後ジオンはUC0079年11月にジャブロー攻略作戦を展開するが、それ以前にも様々なプランが計画・立案されていた。その一つが通称「トンネル作戦」と呼ばれるものである。これは周辺地域からジャブローへ向かってよぶ巨大トンネルを掘削し、そこから直接侵攻をかけようというものである。
この計画では単一の機能を重視したMSが3機チームを編成し、
ここで計画されたのはトンネル掘削用の作業用MS、中距離支援を行う火力重視型MS、近接戦闘を行う白兵専用MSの
この一見無謀とも思える作戦は、実際にある程度の段階まで検討され、準備が進められていた。その上でどうしても必要とされたのが、トンネル掘削用の作業機器である。トンネルはMSによる侵攻に使用されるため、サイズを考慮してもMSによる掘削が適切と判断された。しかしMSー06Jザクをはじめとする陸戦型MSの作業能力には限界があり、専用の掘削用MSが望ましいとの判断が下された。
こうして開発されたのがEMS-05アッグであり、土木・作業機器に実績のあるスウィネン社が開発を請け負っている。スウィネンはこれまでもMSの部品生産・組み立てなどを行っており、このノウハウを活かしたMS開発が期待されていた。またスウィネン社自身も、これを機に本格的にMS開発に参入しようと考えていた。
EMS-05というナンバーを与えられてはいるものの、これはジオンにしばしば見られるダミーであり、01〜04に相当する機種は存在しない。ジェネレーターや駆動システムなどザク以降のMS技術を転用してはいるものの、機体は在来機とMSの中間に位置する簡易MS、とでも言うべきものである。
機体は非人間型で、丸っこいボディに短い手足をつけたフォルムをしている。マニュピレーターはなく、アームの先端には本機の主眼である巨大なドリルが装備されている。また肩にあたる部分に円盤状のカッターが、機体全面には固い岩盤を削岩するためのレーザートーチが装備されており、これらの装備を以ってトンネルを掘削することができた。
しかしトンネルによるジャブロー攻略計画は、様々な理由から中断される。戦線が膠着していた当時は、これ以外にも「アプサラス計画」など数多くの作戦が立案されたが、物資や戦力の不足から実行されたものはなかった。それに応じて開発された特殊兵器も、歴史の陰に消えゆく運命にあったのである。計画の中断に先立って試作された10数機のアッグは東南アジアやアフリカ戦線に送られ、土木作業に一定の成果を挙げたようである。またスウィネン社はこれを足がかりに、MSM-04アッガイなどのMS開発に参入していくことになる。
アッグは基本的に作業用に開発されたMSであり、武装は施されていない。しかしレーザートーチや大型ドリルを使用して戦闘を行うこと自体は可能であったと思われる。またトンネル掘削中に敵と遭遇した時のことを考え、ドリルの代わりに装備する4連装ミサイルランチャーが用意されていた。
EMS-05 アッグ
全 高 | ?m | 自重量 | 69.4t | 総出力 | ?kw | 地上速度 | ?km/h |
頭頂高 | 15.6m | 総重量 | ?t | 総推力 | ?t |
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