白 狼

シン・マツナガ大尉

[SHIN MATSUNAGA]


シン・マツナガ大尉はUC0055年サイド3生まれ、地球のヤシマ家と並ぶサイド3の名家マツナガ家の長男として生まれた。マツナガ家はその名の通り東洋系の血筋をひいており、武人として高い誇りを持つ家柄として知られている。

彼自身もマツナガ家の伝統を重んじており、一年戦争直前に軍へ志願入隊、一週間戦争では宇宙攻撃軍所属の1等兵としてMS-06Cに搭乗、参戦している。続くルウム戦役では直属上官の戦死によって戦場任官されているが、この時点での彼のスコアは戦艦1隻、巡洋艦5隻という驚異的なものであったため、2階級特進で中尉へ昇進した。

この頃より大尉は狼のパーソナルマークを施した白いF型ザクに搭乗するようになった。「白狼」と呼ばれる所以である。ジオンは若い国であり、力量のあるパイロットにはこうしたカスタマイズが許される自由な空気があったのである。

彼がその名を広く轟かせるようになったのは、宇宙攻撃軍総司令官ドズル中将の戦場視察の際、直衛を務めるようになってからであろう。中将は司令室で命令を下すより前線で闘うことを好む性格であり、「戦場視察」も実情は側近の制止を振り切って敢行した、本格的な実戦参加であった。自らザクのカスタム機を駆り、しばしば戦場を暴れまわったという。将兵の間で中将の人気が高かったのも、こうした性格が大きく作用していたと思われる。

中将はマツナガ中尉の非凡な才能に注目し、直々に出撃の際の護衛を命じたのである。中尉はこの任務を見事に務め上げ、あまつさえ中将はMS1機撃破のスコアを挙げている。マツナガ中尉はその後士官学校へ入り、大尉に昇進後MS-06R-1を受領する。彼の乗機として最もよく知られている機種であり、戦後の写真集などでもよく知られているものである。なお、機体は後にR-1Aタイプへ換装されている。

大戦末期、大尉は本国に一時召還されており、ソロモン攻略戦には参加していない。単なる上官と部下を越え、ドズルと強い信頼関係で結ばれていた大尉の心境は察して余りある。ドズル中将玉砕の報には男泣きに泣いたという。その後の大尉の消息は確認されていない。彼の愛機R-1Aもソロモンに残されたままであった。


       
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