指揮官用として開発されたS型であるが、主にエースパイロット達によって使用されたため機体によっては前線の部隊で独自にカスタマイズされたものが多く存在する。殊にジオンでは比較的こうした個人的な改造を許容する空気があったようである。機体の塗装をはじめ実に様々な改造例がみられるが、連邦とは違ってジオンが若い組織であったことも影響しているのだろう。この機体はザビ家3男にしてジオン宇宙攻撃軍総司令官であるドズル・ザビ中将の専用機としてカスタマイズされたワンメイクの機体である。

ドズル中将は要職に在りながら軍人の中の軍人とでも言うべき武闘派であり、司令室で指揮を執るよりも自ら最前線に出て戦闘に参加することを好む性格であった。有名な中将の戦場視察も実質は側近の制止を振り切って敢行した本格的な戦闘参加であり、中将は敵MS1機を単独で撃墜というスコアを挙げている。中将が兵士達に人気があったのもこうした性格からであろう。

機体は両肩に4本のスパイク付アーマーを装備し、両手の拳にも3本の小型スパイクを装備するという兇々しいデザインで、グリーンを主体にイエローのラインを各部に施した塗装であった。また中世の騎士の鎧のように全体にエングレービングを施していた。武装は特注の大型ヒートホークのみであり、1機ながらこれで敵MSを撃墜したことを考えると中将のパイロットとしての資質には並々ならぬものがあったと言えよう。

MS-06S　指揮官用ザク　ドズル・ザビ専用機

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