MS-06K(J-12) ザクキャノン

(ZAKU CANNON)


宇宙空間では無敵を誇ったMSも、地球の重力下では重装甲ながら鈍重で巨大な地上兵器の一つに過ぎず、航空機にとって格好の目標であった。もちろんMS自体も対空戦闘能力を持っており、それなりの戦果を挙げてはいたが、より有効な対空手段が求められる余地は十分にあった。ジオン地球攻撃軍はMS以外の通常兵器としての対空砲を装備していたが、侵攻作戦の主体であるMSの機動力についていけず、有効に運用されることは少なかった。

こうして開発がスタートしたK型はジオン軍の地球侵攻作戦の為により機動性の高い対空防禦の手段として考案されたタイプである。開発は北米のキャリフォルニア基地で進められ、マザープランでは単にMS−06Jに対空砲をオプションで装備するというものであったが、重量バランス等の問題を解決できぬまま進展を見ず、一時は開発が中断しかけたこともあった。そこへ連邦軍のRXシリーズの情報が入り、再度内容が検討された。所期の目的である対空防禦を主意とせず、対MS戦における中・長距離からの火力支援を目的としたのである。

ロールアウトした試作1号機はモノアイの視界を360°の全周式に改め、右肩部に180mmキャノン砲が1門セットされた。これは背部のランドセルと一体化しており、換装すれば通常のJ型と同様に扱うことが可能であった。頭部には通信用のアンテナが追加され、脚部にはMS−07Bのノウハウを活かした補助推進機を装備してキャノン砲の重量により低下した機動力を補っている。試作機は全部で9機製作され、全て北米で実戦参加した。なお、グレーデン中尉が使用した機体はオリーブドラブ一色に塗装され、頭部アンテナを2本装備していたことから「ラビットタイプ」と呼ばれていた。

武装は前述の180mmキャノン砲の他は通常のJ型ザクと同じだが、大量MS戦を想定して脱着式のビッグガンをランドセルにストラップで固定して使用可能だった。

なお、グリプス戦役では連邦軍がこのザクキャノンを使用した記録がある。連邦は戦後、ジオンから接収したMSを多く使用しており、これもそうした例の一つだとされている。しかしこの使用例は記録によると宇宙で運用されており、しかも180mmキャノン砲はビーム砲に換装されていたようである。MS-06Kは元来地上専用機であり、ビーム砲を使用できるキャパシティがあったとは到底思えないため、これは戦後連邦軍が新たに製作したレプリカだと思われる。

MS技術で後れを取っていた連邦軍は、戦後接収したジオン施設の資料を元に数多くのレプリカを試作し、研究を進めた。中にはMSM-01のようにレプリカを作る意味のないように見えるものもあるが、ジオン側のダミー情報に惑わされたことと、改めて一からジオンMS技術を学ぼう、とする姿勢の両方が作用していたと思われる。



MS-06K(J-12) ザクキャノン

全 高 18.4m 自重量 59.1t 総出力 976kw 地上速度 73km/h
頭頂高 17.7m 総重量 83.2t 総推力 41.0t


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