MS-07B グフ標準装備型

(GOUF)


MS-07グフは、当初間に合わなかったマシンガンとヒートロッドの生産も追いつき、本格的に量産が始められた。この標準装備型のグフがB型である。一般にグフといえばこのB型を指し、生産台数も最も多い。グフの実戦配備はキャリフォルニアベースのある北米を皮切りにアジア方面を中心に進められ、それまでのMS-06J陸戦用ザクの生産ラインは順次グフに切り替わっている。各地に配備されたグフは概ね好評で、特に熟練パイロットになる程グフを高く評価するという傾向があった。特に好評だったのは分離した予備装甲として手持ち式のシールドを装備した点である。

MSはそもそも通常兵器と比べても十分な装甲を施しており、ましてやグフはザク以上の重装甲・高機動を実現しているためこの事実は忘れられがちだが、一方で装甲の頼りすぎることが如何に危険であるかということを多くのパイロット達は知っていた。その点グフはシールドを装備することで一見原始的ながら機動性を殺すことなく効果的な装甲防禦を可能にしていたが、当然それにはある程度の実戦経験が必要であった。

また推進ユニットを背部ランドセルだけでなく、脚部にも設置するという機体の設計コンセプトは地上、宇宙、水中とMSが運用される場所に関わらずその有効性が認められ、その後のMS設計に大きな影響を与え続けている。こうした点が評価されている一方で、グフには同時にパイロット達からの苦情も多かった。最も悪評が高かったのは両腕の固定武装である。これはザクが持っていた高い汎用性を著しく低下させる上、効果的な使用が難しいものであった。

また一方で、グフは地上用MSのアキレス腱ともいえる長距離移動の問題を要爆撃機ド・ダイYSとのコンビネーションによって解決している。これはMS-07Hのプロジェクトが失敗に終わった前後から進められていた。元々ド・ダイは純粋に爆撃機として開発されたものだが、海や空を持たないコロニー国家たるジオンの事情により実際に大気圏内で使用するとペイロードに相当な余力があることが判明し、急遽MSを搭載・輸送する案が出されたのである。

搭載するMSはグフが多かったが、これはこの運用が実行された時点で既にザクが主力の座を退いていたからであり、また後に登場したドムはホバー走行による単独での高速移動が可能で、なおかつ機体の重量が大きすぎたからである。つまり、たまたまこの時期にグフが主力MSであったに過ぎない。実際、ザクがド・ダイに乗って作戦に参加した記録も多く残っている。このプランは実行してみると当初の予想以上の成果を挙げ、また両者のコンビネーションによる新たな戦術も編み出され、それは連邦軍のMS運用計画に影響を与えるほどであった。この運用は後にサブ・フライト・システム(SFS)と命名され、その後も多くのSFSが使用されている。

グフはこうした様々な利点・欠点を持ちながらもトータルでは高いポテンシャルを発揮し、陸戦用MSとしては傑作機であったと言えよう。このことはドムが配備された後もエースパイロットを中心に根強い需要があった事実からも推察できる。なお、当然ながらグフは右腕のヒートロッド、左腕の5連装75mmマシンガンといった固定武装のほかに、120mmマシンガンを始め、ザク用の武装をそのまま使用可能であった。配備された各部隊によって現地改造された機体も多く、ザク程ではないが若干のヴァリエーションも生み出している。


MS-07B グフ標準装備型

全 高 18.7m 自重量 58.5t 総出力 1034kw 地上速度 99km/h
頭頂高 18.2m 総重量 75.4t 総推力 40.7t


地上用モビルスーツに戻る

MS-07Aに戻る

MS-07B2/MS-07B3/MS-07B(c)/MS-07C-1/MSM-04Nへ進む