MSM-03C ハイゴッグ

(HY-GOG)


大戦末期にMSの整備・操縦などの規格を統一した統合整備計画は、宇宙用だけでなく地上用や水陸両用の機種もその対象としていた。なかでも高い戦果を挙げていた水陸両用MSはもっとも精力的に設計が見直されており、これにのっとってMSM-03ゴッグを改修したMSがMSM-03Cゴッグ全面改装型、通称ハイゴッグである。ハイゴッグは同じ統合整備計画でMSM-07をマイナーチェンジしたMSM-07Eとは違い、機体コンセプトのみを継承した完全な新設計機である。

モノアイの形状を始め全身の関節や機体構造そのものが全く異なっており、殊にショルダーアーマーは可動式となっている。そして最大の特徴は長大なフレキシブルアームであろう。水中航行時にはこのアームを縮納し、ショルダーアーマーを折りたたむことによって簡単な機体変形を行い、運動性能を飛躍的に向上させている。

ここで言う変形は厳密な意味でのトランスフォーマブルMSのそれとは違い、通常のMSと比べて特筆すべき形状変化、という程度の意味である。更に水中航行時にはMSM-07Eと同様、脱着式の水中用ジェットパックを装備することができ、巡航能力の向上に貢献している。このジェットパックは使い捨てで、上陸時に排除する。

外観上の大きな特徴であるフレキシブルアームであるが、他のどの水陸両用MSよりも長大なものであり、ハイゴッグの全高すら上回る。掌にはビームカノンを装備しており、その火力はエネルギーCAP技術の導入もあってゴッグとは比べものにならない程強力なものであった。また、指はアイアンネイルに代わって中間に関節のあるバイスクロウになっており、攻撃力は劣るものの作業性が向上している。

ゴッグの全高が18.3mであったのに対し、ハイゴッグは15.4mであり、当時としては驚異的に小さいMSといえるが、エネルギーCAPをはじめ最新の技術が導入されているため、むしろ性能は格段に向上していると言えよう。第2期生産規格に準じていることもあり、生産性も向上して終戦までに相当数が生産された。

武装は前述のビームカノンの他、モノアイの左右に魚雷発射管を2門ずつ、計4門装備している。これは水中航行時は閉じるようになっていた。水陸両用MSの武装は機体に固定装備するのが一般的だが、ハイゴッグは専用の武装が開発されている。オプションとしてマニュピレーター先端に装備するハンドミサイルユニットがそれで、両腕で計2基の大型ミサイルを発射することができた。これは水中での行動を妨げないようカバーに覆われており、カバーは発射と同時に廃棄される。

ゴックシリーズは実戦投入後の実績により、MSM-07とのコンビネーションに高い有効性が確認されていた。そのためハイゴッグでは戦略・戦術面や武装面で差別化が図られている。両者は編隊を組んで配備されることが多く、配備状況はMSM-07シリーズに準じている。北米、西アフリカ、ミクロネシア、ユーラシア大陸北岸を中心に、公国軍勢力勢力圏内外の河川、海岸線のほとんどに配備され、ハイゴッグに限って言えば単独での配備も多い。またハイゴッグはUC0088年代に地球侵攻作戦を展開したネオ・ジオン軍が開発したAMX-109カプールの開発母体ともなっている。


MSM-03C ハイゴッグ

全 高 15.4m 自重量 54.5t 総出力 2735kw 水中速度 89kt
頭頂高 15.4m 総重量 79.2t 総推力 86.0t 規準排水量 235.0t


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