YMS-11 プロトタイプアクトザク

(PROTOTYPE ACTION ZAKU)


一年戦争で活躍したジオン製MSのほとんどが、その駆動方式に流体パルスシステムを採用している。一方MS開発で後発となった連邦ではフィールドモーター駆動を採用しており、これは連邦に亡命したミノフスキー博士の尽力があってのことである。フィールドモーターはコンパクトでより大きい力が得られるため、ジオンでもツィマッド社を中心に研究が進められていた。その試作機としてMS-06Xが試作され、更にそれを受け継ぐ形で全ての駆動をフィールドモーターで行うMSの開発がスタートした。

これはペズン計画の中心として積極的に推進され、この時点ではリックドムに継ぐ次期汎用主力MSとしての期待も込められてYMS-11の番号が与えられた。MS-11系統は本来ジオニック社で開発中の次期主力MS(後のゲルググ)に与えられていたナンバーであり、それをわざわざ移動するほどこのMSへの期待が大きかったということだろう。開発が遅れていたことに業を煮やした軍首脳部がジオニック社のスタッフにあてつける意味もあったと言われている。

この開発には、単にザクの機体にフールドモーターを搭載するというだけでなく、複数の目標が盛り込まれている。まずフィールドモーターという新駆動方式を以って、これまで究極に近い進化を極めてきたザクシリーズをブラッシュアップし、総合的な運動能力の向上を図る、というもの。更にツィマッド社の手で、ジオニック社の名機MS-06ザクを再評価する、という目的もあった。結果としてアクトザクはツィマッド社の手で作られたザクのリニューアル・最強バージョンとでも言うべきものになるはずであり、機体に与えられたアクトザクという呼称は、その開発コンセプトを象徴していたと言えよう。

開発はMS-06X同様、小惑星基地ペズンで進められた。当初はMS-06Xを母体にする予定であったが、上記の理由もあってMS-06Fの新規の機体が供されている。ロールアウトした機体はMS-09Rのジェネレーターを流用し、全ての駆動をフィールドモーターで行う。早速行われたテストは概ね好評で、特にその軽快で柔軟な運動性能にはテストパイロット自身が驚愕したという。またザクのリニューアル版としてのコンセプトを活かし、クセのない高い操作性を実現していた。このため、操縦経験のない訓練生でも容易に扱うことが出来たという。

しかし連邦軍もMS開発に成功したとの情報が入り、YMS-11の開発は突然中断される。連邦のMSは戦艦クラスのビーム兵器を標準装備しており、高い格闘性能を有する驚異的なMSであった。急遽、新型MSにはビーム兵器の標準装備が絶対条件となったが、ザクをベースとした中型クラスのYMS-11には到底無理な要求であった。そこでツィマッド社はビーム兵器の使用を前提とした強力なジェネレーターを搭載する、大型の機体を完全な新設計で起すことを決定したのである。

新設計の機体にはYMS-15の仮ナンバーが与えられ、ツィマッド社は総力をあげてこの開発に取り組むこととなった。そのためアクトザクは次期主力MSの候補から外れ、一時は倉庫に眠ることとなったが、フィールドモーターの駆動をより柔軟に行うマグネット・コーティング技術の研究のため、規模は縮小されながらも開発は続行されることとなった。そこにはアクトザクは所詮ザクの発展機であり、フィールドモーター駆動の完成には完全に新設計の機体がふさわしいという判断もあったと思われる。武装は通常のザク用のものだけでなく、ジャイアント・バズやヒートサーベルといった武装もテストされたが、前述の通りジェネレータ出力の不足からビーム兵器の使用は不可能であった。


YMS-11 プロトタイプアクトザク

全 高 ? m 自重量 ? t 総出力 ? kw センサー

有効半径

? m
頭頂高 ? m 総重量 ? t 総推力 ? t


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