MS-17A ガルバルディα
(GALBALDY-α)
ゲルググとギャンの長所を兼ね備えた究極のMSとして期待されたガルバルディは、試作機を経て実用機の段階へと移っていった。しかしこれ以降、開発は一時停滞してしまう。開発主体であったツィマッド社に対抗し、ジオニック社がスタッフを送り込んできたためである。これは表向き、両者間の技術格差を改善するという軍の説明ではあったが、実際はジオニックの政治工作が強く作用していたことは否定できない。
ツィマッド社がペズン計画で完成させたフィールド・モーター駆動やマグネットコーティング技術は、次世代MSの標準となるべき重要なものであった。旧来の流体パルス駆動に固執し、新技術に遅れをとっていたジオニックは、将来のMS生産シェアをツィマッドに奪われる事をおそれたのである。それにはMSそのものを誕生せしめたジオニックのプライドも少なからずあったといえよう。
ジオニックはガルバルディにゲルググの技術が使われている事実を根拠に、開発に加わる事を強硬に主張したのである。軍部はこうしたジオニックの要求を無視できず、ガルバルディの開発はツィマッド/ジオニックの共同で進められることとなった。しかし両社の技術者は互いに自社の技術を盗まれまいと疑心暗鬼に陥り、協力体制を確立できないまま現場は混乱した。そのため開発は難航したのである。
またギャンとゲルググを合わせた究極のMS、という触れ込みが更なる混乱を呼んだ。膠着したままの戦線は連邦製MSの登場によって漸次後退を余儀なくされており、うっすらと敗色が漂っていた時期のことである。新開発のMSには過剰な期待がかけられ、軍兵器開発局が出した仕様書には無謀ともいえる要求が盛り込まれていた。
それは当時驚異的な戦果を挙げつつあった連邦のRX-78-2を多分に意識したものであった。戦艦並みのビーム砲と高い近接戦闘能力、強固な防御力、単独での大気圏突入能力など、既に実現されているものと到底不可能なものが混在しているが、最も重要視されたのが宇宙空間と地上における機動力であった。驚くべきことに、いずれの領域においても現行の主力機を凌駕することが求められていたのである。
つまり地上ではMS-09ドムを、宇宙ではMS-14ゲルググを上回る機動力を確保するのである。特に大気圏内では飛行能力すらも視野に入れられていた。これは当時の技術水準からは考えられない要求と言えよう。このため機体は大胆な軽量化やスラスターの大出力化が行われた他、小型の熱核ジェットエンジンまでが腕部に増設されていた。
しかし当然ながら、試作機は失敗に終わった。両立を目指した挙げ句、どちらつかずの中途半端なMSとなってしまったのである。テストの結果、両立はおろかどちらの条件も満たせないことが判明した。テストを視察したある将官に「地上ではゲルググに劣り、宇宙ではドムに劣る」と評されるほど、屈辱的な結果に終わったのである。実際にそこまで低性能に終わった訳ではないが、量産ベースに乗ることもなく、試作機のうち数機が実戦で使用されたに留まっている。
一方で、ガルバルディは単なる失敗作で片づけられない側面を持っている。大気圏内/宇宙空間での機動力はともかく、ギャンとゲルググの融合、という点は大いに評価されていい。そのため開発はツィマッド社の手で続行され、宇宙専用機として再設計されたガルバルディβは戦後連邦軍が使用するほどの傑作機となっている。βの完成に伴い、このタイプはαとして区別されるようになった。
ガルバルディαの武装は、プロトタイプと変わらない。ゲルググ用のビームライフル、ツィマッド社製の専用ビームサーベルの他、シールドはゲルググのものをベースに小型軽量化したものが使用された。
MS-17A ガルバルディα
全 高 | ? m | 自重量 | 41.7t | 総出力 | ? kw | センサー
有効半径 |
? m |
頭頂高 | 18.4m | 総重量 | ? t | 総推力 | ? t |
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