MS-09G ドワッジ、ドム最終生産型

(DWADGE)


ホバーによる高速移動で他の地上用MSを圧倒したMS-09ドムシリーズは、リックドムの技術をフィードバックしたMS-09Fドムフュンフへと発展した。これまで推進機として使用していた化学燃料ロケットを廃し、浮上と推進の全てを熱核ジェットで行うようになったのである。これによってドムは高い陸戦能力を獲得した。

熱核ジェットは燃費効率も良く、安定した浮上と推進をもたらしたが、一方でパイロット達からの不満も届くようになった。それまでもドムを使用していた者にとっては、各戦術的局面における機動力が物足りなく感じられていたのである。化学燃料ロケットは効率が悪いものの爆発的な加速力があり、使い方によっては攻撃や回避に非常に有効であった。

そこでツィマッドは、熱核ジェット/ロケットのハイブリットタイプの推進機を搭載するドムの改良機を開発した。ハイブリット推進機は通常では燃費のよい熱核ジェットで航行し、戦闘中など高い加速を必要とする時には熱核ロケットを使用する。熱核ロケットはそのために推進剤を搭載しなければならないが、これで移動時の航続距離と戦闘時の機動力を両立させることができるようになった。

完成した機体は背部に大きく突き出たスラスターが特徴で、放熱機能を持たせた背部スカートも大きく広がっている。また脚部スカートにはバルジが2つ追加されているが、ここにはホバー用のプロペラントタンクが内蔵されている。エンジンそのものが強化されたことも加え、ホバーの稼動時間は飛躍的に増大した。ランドセルには大型のプロペラントタンクが設置され、爆発的な加速力を持つ熱核ロケットの推進剤はここから供給される。また使い捨て式のプロペラントタンクを脛裏部に1基ずつ装着することができた。

また予てより懸案であった熱帯地域での運用も考慮され、改良が加えられている。大型化した後部スカートに放熱機能を持たせ、頭部周辺に放熱パイプを装備している他、全体の冷却機能は大きな余裕を持って設計されている。このためH型のような改造も無理なく行うことができた。また砂漠での通信環境も考慮されており、ランドセルに大型のアンテナを2本追加している。

この改良機はG型の番号を与えられ、量産された。一方でこれまで続けられたドムの改良プロジェクト「ドワッジ計画」は、このG型を以って一段落したことが確認され、改めてG型にドワッジの呼称が与えられている。そのため既に開発・量産されながらも結果的に失敗に終わったMS-10ドワッジは、これ以降区別のため「ペズン・ドワッジ」と呼称されるようになった。

ドワッジ計画はMS-10で一旦挫折したが、最終的にその反省は見事に活かされたと言えよう。格闘性能を強化しようとしたMS-10は結果としてドムの持ち味を殺し、どちらつかずの中途半端な性能に終わった。従ってこれ以降のドムの改良はその砲撃戦における高い性能を伸ばす方向で進められ、このMS-09Gはその終着点に辿り着いたと言える。その後エースパイロット用のH型が試作されるが、これはむしろ各パイロットに合わせたカスタマイズ機の範疇に入るだろう。ドワッジ自体の完成度は非常に高く、性能的には第2世代MSに匹敵していた。

ドワッジの武装は基本的にこれまでのドムと変りない。固定武装として胸部に拡散ビーム砲を装備する他はジャイアントバスーカにヒートサーベル、その他ザク・グフ用の装備が中心であるが、固定武装として頭部に30mm2連装バルカン砲を2門装備していた。


MS-09G ドワッジ、ドム最終生産型

全 高 19.3m 自重量 43.5t 総出力 1440kw センサー

有効半径

8800m
頭頂高 18.2m 総重量 81.7t 総推力 104.3t


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