MS-09F ドム・フュンフ、ドム後期生産型

(DOM FUNF)


ホバージェットによる高速移動で圧倒的な機動力を獲得したドムだが、推進機として化学燃料ロケットを採用しているため、その移動距離は限られたものであった。そのためホバー移動は敵を目前とした戦闘行動に限定され、戦線から戦線或いは後方から戦線への移動はこれまでのMSと同様、ガウやファットアンクル、ギャロップなどの輸送手段に頼らねばならなかった。

一方でドムはその重装甲と大火力が注目され、宇宙戦に対応した改装機が開発されることとなった。既にジオニック社ではMS-06FザクUに次ぐ宇宙用主力MSとして、MS-11(後のMS-14)の開発が進行していたが、開発は難航していた。その原因として、MS-06シリーズの基本設計があまりにも優秀だったため、開発者の発想がそこから離れられなかったことが挙げられる。またこの時点では必須条件ではなかったものの、予定されていたビーム兵器の搭載も技術的困難を解決できないでいた。

そこで焦った軍兵器開発局は、地上用MSとして成果を挙げていたMS-09を宇宙用に改装し、暫定的に宇宙用主力MSとして採用するプランを発表したのである。始めから地上専用として設計されたドムを宇宙用に改装することには冷却の問題をはじめとする様々な困難が予想されたが、驚くべき早さで試作機がロールアウトしている。機体の完成度は高く、そのまま量産機とも問題ないほどであったという。ツィマッド社スタッフの意気込みが感じられよう。一方ジオニックはツィマッド製のドムに地上と宇宙の両方でシェアを奪われることを怖れ、対抗機としてMS-06R-2を提出したが、競合の結果宇宙用ドムの採用が決定した。

こうして量産された宇宙用ドムはMS-09Rリックドムと呼ばれ、ゲルググが完成するまで宇宙用主力MSの座を務めた。地上用のドムは熱核ジェットで浮上し、化学燃料ロケットで推進していたが、このリックドムはバーニア、スラスター共に全て熱核ロケットを採用している。そのためここで確立した技術をフィードバックし、浮上と推進を全て熱核ジェットで行うドムの開発が進められることとなった。これはもちろん、ドムを超越するドムの開発を目的とした「ドワッジ計画」に基づいている。

完成した機体は予定通り全ての浮上と推進を熱核ジェットエンジンで行い、これによってドムの移動半径は大いに増大した。ガウなどの輸送手段に全く頼らないということはなかったが、それでも当時のMSの常識を打ち破る行動範囲だったのである。またジェネレーターや熱核ジェットエンジンにも改良が加えられており、全体に小型・軽量化が進められているが、却って効率は上がっており、陸戦能力はかなり向上している。

また全体の設計は当時推進されていた統合整備計画に基づき、第2期生産型MSとなっている。これは操縦方式や部品の規格をある程度共通させるもので、同規格の宇宙用としてMS-09RUリックドムツヴァイが生産されている。しかし量産ラインに乗ったのは大戦末期のことであり、前線まで十分に行き渡ることはなかった。また、アフリカ戦線を中心に熱帯戦・砂漠戦に対応した改造機も少数ながら生産された。

ドム・フュンフの主武装としてはラケーテン・バズが挙げられる。これはジャイアント・バズを改良したもので、形状は旧世紀のナチス・ドイツ軍が使用したパンツァーシュレッケに酷似している。また近接戦闘用にヒートサーベルを装備していた。もちろん、それまでのドムやザク用の武装も使用可能である。


MS-09F ドム・フュンフ、ドム後期生産型

全 高 ? m 自重量 ? t 総出力 ? kw 地上速度 ? km/h
頭頂高 ? m 総重量 ? t 総推力 ? t


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