MS-09R リックドム

(RICK DOM)


ジオン軍兵器開発局は、ジオニック社製のMS-06FザクUに代わる次期主力汎用MSの開発を進めていたが、様々な問題から難航していた。目標とされたビーム兵器の標準装備化に伴う技術の確立が遅れていたこともあったが、なによりMS-06Fの基本設計があまりに優秀だったため、技術者の発想がかえってそこから離れられなかったからとされている。

そこで軍指導部は地上用MSとして好評だったツィマッド社製重MS、MS-09ドムを宇宙用に改修し、暫定的に主力MSとするプランを提案した。地上用に続き宇宙用でもシェアの拡大できるチャンスを得たツィマッドは全力でこの開発に取り組み、宇宙用ドム、MS-09Rリックドムを完成させた。MSはそもそも宇宙空間で発達した兵器であり、それがやがて地上でも運用されるようになったのだから、地上用MSを再び宇宙用MSに改修するにはこれまでのノウハウを逆利用すればよい筈であった。

しかし冷却システムの改修は多少難航した。地上では大気があるため、空冷式のラジエーターによって軽量勝つ高効率の機体冷却が可能である。しかし宇宙空間では空冷システムは使えず、Heを冷却剤として使用し、推進時に放出とする方式を採用しなければならなかった。このシステムはすでにザクやザクUで確立されていたが、空冷システムに比べて大型で重量もあり、純粋に地上専用MSとして開発されたドムのペイロードに収めるには多少難航した。

また脚部及び腰部スカート内の熱核ジェット、背部の化学燃料ロケットは、全て熱核ロケットに換装されている。熱核ロケットの利点は化学燃料方式に比べて推進剤の消費が少なく済むことで、この方式を採用することでトータルの最大推進力及びCMP(戦闘最大出力)はMS-06Fと比べて向上している。これ以降ほとんどの宇宙用MSがこの熱核ロケットを採用している。

こうして完成したMS-09Rリックドムは先の冷却システムの問題もあって、地上用のドムに比べて装備が増えた分、推進剤の搭載量が減り、自重が増して運動性が低下した。しかし、それでもMS-06Fよりも高性能であった。試作1号機の完成度は非常に高く、そのまま量産機として通用する程であったという。開発期間の早さといい、ツィマッド社のリックドムに懸ける強い思いを見るようである。

このリックドムは対抗馬だったジオニック社製のMS-06R-2をも退け、暫定的ながら主力MSとして採用され量産された。戦線でのリックドムはおおむね好評で、クセの少ない操縦性を以って新兵から熟練パイロットまで広く愛用された。本格的な次期主力MSであるゲルググが前線に登場するまで、主力MSとして一年戦争後期を通して活躍した名機である。

主武装はジャイアント・バズーカと呼ばれる360mmロケット砲とヒートサーベルで、固定武装として胸部に拡散ビーム砲を装備している点も含めて地上用ドムと変わらない。ジャイアント・バズは南極条約締結後、核弾頭を装備したバズーカ砲が使用不能となったため、低下したMSの攻撃力を補う為に開発されたものである。従来280mmバズーカ(ザクバズーカ)を使用していたザクには重量が大きすぎて使用は困難であったが、重MSであるドムには十分使用可能であり、地上用にならって宇宙用のリックドムでも採用された。もちろん、ザク用のMMP-80型90mmマシンガンや、シュツルムファウストを使用することもあった。


MS-09R リックドム

全 高 18.6m 自重量 43.6t 総出力 1199kw センサー

有効半径

5400m
頭頂高 18.6m 総重量 78.6t 総推力 53.0t


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