MS-15E ギャンヌ

(GANNE)


高い白兵戦能力を持ちながら、生産性など主力機としてのバランスに欠けていたYMS-15は、次期主力MSの競合においてジオニック社のYMS-14に敗れた。しかしMS-11アクトザク以来ツィマッド社のお家芸となっていたフィールドモーター駆動の完成度は非常に高く、またその騎士的なデザインは貴族的趣味を持つ多くのジオン将官たちの目を引いた。そうした一人であるマ・クベ大佐はプロトタイプの1機を引き取り、自らの専用機として使用したが、同様の要求は既に各方面にから出ていた。

これに応える形でツィマッド社では、若干の仕様を変更して少数ながらギャンを再生産することとなった。量産型ギャンともいえるこのMSはE型の番号が与えられ、ギャンヌの愛称で呼ばれている。完成した機体はギャンの持つ騎士的なデザインがより強調され、その分実用性は低くなっていた。例えば両肩の球状アーマーには長いスパイクが1本、上方に向けて装備されているが、実戦でどのような使い方をするのかは甚だ疑問である。頭部は完全に造り直され、その風貌はまさしく中世の騎士であった。またいかにも騎士然としたシールドも大小2種類用意されている。

一方武装に関してはツィマッド社で研究されていた新技術が投入されている。ギャンヌの頭頂高に匹敵するほど長大なビームスピアがそれで、ビーム刃を持つ槍として使用できるだけでなく、ビームスプレーガンとしての使用も可能となっている。元来ビーム砲もビーム刃もメガ粒子を放出する原理は同じであり、前者が目標に向かってメガ粒子を放出するのに対し、後者はIフィールドによって放出されたビームを封じ込め、刃を形成しているだけである。従って両者の共用は理論的には可能であったが、技術的な問題をクリアできないでいた。

しかしようやく完成の目処が立ち、試験的にこのギャンヌに装備されることとなった。ビーム砲としての威力は弱く、またビームサーベルとしても短い刃しか形成できないという中途半端なものであったが、ギャンヌ自体が実戦を想定したMSではないのでさほど大きな問題とは言えないだろう。

こうして完成したギャンヌはそれぞれのカスタマイズに応じた後、MSに搭乗しない将官の名目上の専用機として引き渡された。おそらく実戦に参加した機体はなかったとみられ、戦果などの記録も残っていない。ギャンヌの使用例として最も有名なのはズム・シティに送られた数体であろう。

ギレン・ザビ総帥直属の親衛隊に配備され、ロイヤルガードとして式典などに花を添えた。そのためア・バオア・クー攻防戦においては巨大MS空母ドロスを旗艦とするMS部隊に配属され、実戦に参加している。こちらも戦果などの記録はないが、おそらく全滅したものと思われる。なお、このMSは後にネオ・ジオンが開発したAMX-104Rジャジャの開発母体となっている。


MS-15E ギャンヌ

全 高 ? m 自重量 ? t 総出力 1360kw センサー

有効半径

4400m
頭頂高 19.9m 総重量 ? t 総推力 56.2t


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