MS-12 ギガン

(GIGUN)


ジオン第4のメーカーとしてMS開発に参入したスウィネン社は、佳作機として評価されたMS-04アッガイの成功を足がかりに汎用主力MSの開発を目指していた。しかしアッガイをベースにした試作機ジュアッグ、アッグガイが共に失敗に終わったため、スウィネンのMS開発は頓挫する。その後スウィネンが汎用MSの開発を再開した形跡は認められておらず、これには様々な推測がなされている。これ以上ライバルが増えることを嫌ったジオニック社が政治的圧力をかけたとする説、あるいは同様にツィマッド社を首謀者とする説などである。

しかしジュアッグの失敗が示すとおり、スウィネンにはビーム兵器に関する技術が決定的に欠けていたのは事実である。元々スウィネンは兵器と無縁の土木・作業機器メーカーであり、一方でビーム兵器が将来、MSの標準装備となるであろうことは当時から自明のことであった。政治的背景を無視し、技術的な側面のみに着目しても、スウィネンがMS開発から撤退した合理的説明は可能である。

こうした推論をささやかながら傍証するのが、このMS-12ギガンである。ギガンは中・長距離支援や対空防衛を目的とした砲撃戦用MSであり、スウィネン社が開発した事実上最後のMSでもある。ギガンの特徴はコストが低く、生産性が高いことである。革新的な技術を一切使わず、手堅い技術だけが使われているため、機体の信頼性・稼動性も高い。二本脚による歩行システムすら採用されておらず、車輪による走行が移動手段である。MS以前の機種にも見えるが、各部にはザク以降に確立した技術も投入されており、れっきとしたMSである。武装も180mm砲1門と4連装120mm砲1門と火薬式の実体弾のみで、ビーム兵器は使われていない。

こうしたギガンの特徴は、ある意味ジュアッグとアッグガイ以降のスウィネン社が出した結論と言えるのではないだろうか。画期的な新技術を排し、これまで培われた信頼できる技術だけを有効に使う。派手な要素はないものの、実用性という面においては無類の安定性を誇っている。ホバー走行、フィールドモーター、マグネットコーティングなどMSを開発する度に革新的な技術を投入してきたツィマッド社とは見事な好対照と言えよう。EMS-05アッグに始まるスウィネンのMS開発は、結果的ながらこのギガンで一つの解答に辿り着いたのである。

こうして開発されたギガンは、キャリフォルニアをはじめ地球上の各拠点で基地防衛用として配備された。またサイド3本国へ一部がまわされた他、冷却システムに改良を加えた宇宙仕様がグラナダで使用されたようである。火力はそれほど大きくないが、ジュアッグで得られた射撃管制システムが有効に活かされ、一定の戦果を挙げたとされている。コストの低さ故に大量生産が可能ではあったが、大戦末期の混乱とゲルググの量産が優先されたことから、生産台数はそれほど多くない。

ギガンの武装は前述の通り、頭頂部の旋回砲塔に装備された180mm砲1門と右腕部の4連装120mm砲1門のみである。また左腕部は簡略式マニュピレーターとなっていた。作業性は低いが、コスト減には一役買っていたようである。パワーはそれなりにあったが、格闘戦が可能なほどではなかった。


国民MS−(Volks Mobile Suit)。練度の低い兵隊、少年兵、誰でも扱えるすてきなMS。ラララ〜。

扱いやすさ。


MS-12 ギガン

全 高 16.2m 自重量 71.1t 総出力 736kw 地上速度 90km/h
頭頂高 13.9m 総重量 101.3t 総推力 48.0t


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