MS-06T ザクトレーナー

(ZAKU TRAINNER)


大戦当初、ジオンは連邦に対して圧倒的な勝利を収めることができた。その要因としては周到な戦争準備と奇襲に近い開戦、高い機動力による電撃作戦、兵士の士気と練度の高さなどを挙げることだろう。殊に未知の新兵器、モビルスーツが果たした役割は大きい。しかしせっかくの新兵器も、それを扱うパイロット達がいてこその活躍である。

宇宙世紀史上初にして最大の宇宙艦隊戦となったルウム戦役は、結果としてジオンの勝利に終わったものの、教導機動大隊以来育ててきた優秀なパイロット達を多く失うこととなった。コロニー落としによってジャブローを壊滅させる、短期決戦の構想を抱いていたジオンは、ここで止むを得ず長期戦へと方針の転換を行わざるを得なくなったのである。

そこで懸案となったのが中・長期的視点に立ったパイロットの育成であった。来るべき地球侵攻作戦を控え、長大な戦線を支えるパイロットの量的充足が求められるようになったのである。こうした需要から開発されたのがMS-06T ザクトレーナーである。これは従来の機体に訓練教官用のコクピットを増設しただけの改造機で、それ以外は在来のザクと全く変りがない。

改造機のベースにはC型ザクが多く使用されており、これは当時、南極条約によって主力機がC型からF型へと転換する時期であったためと思われる。南極条約によって対核装備が不要となったC型の多くはF型へと改修されていったが、その一部がこのトレーナー用として回されたようである。改造は現地でも可能なものであり、すぐに実戦への転用が出来るよう工夫されていた。

ザクトレーナーは練習機としてパイロットの訓練に使用されたが、大戦中期以降は戦力外となったMS-05がその役割を務めるようになっていく。これは少しでも戦力になるものはできるだけ効率よく運用したい、という軍部の方針であったと思われる。戦線が膠着していく中での、当時のジオンの逼迫した情勢がうかがえよう。こうしてほとんどのトレーナーが前線へ送られていったが、C型をベースにしていたため、一旦F型かJ型へと改修されてから使用されたようである。

ザクトレーナーは練習機のため武装を持たないが、ノーマルのザクと同様の装備を扱うことはもちろん可能であった。訓練においては、レーザー光を用いたシムファイアーをオプション装備した武装を使用していたようである。


MS-06-T ザクトレーナー

全 高 18.0m 自重量 ? t 総出力 976kw センサー

有効半径

3200m
頭頂高 17.5m 総重量 ? t 総推力 79.5t



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