MS-04 プロトタイプザク

(PROTOTYPE ZAKU)


MS-01に始まったMS開発は、02、03を経たMS-04でようやく実用段階に近づきつつあった。慢性的な出力不足もミノフスキー物理学を応用した最新鋭の超小型核融合炉を搭載することでMS-03の2倍以上の推力を持ちながら装甲を強化することが可能となった。懸案だった冷却の問題もHe(ヘリウム)を冷却剤として使用し、使用後のHeは推進時に機外へ放出するという方式で落ち着いた。

これで漸く軍部が要求した性能を十分満たすという見通しが立ったのである。この時点で公国軍兵器開発局は将来完成する実用型モビルスーツに「ザク」という機種名を与えていた。従ってこのMS-04には「プロトタイプザク」という機種名が与えられている。

このMS-04は駆動系に流体パルスモーター(パルスシステム)が採用されている。これは核融合炉から発生したエネルギーをパルス・コンバーターでパルス状圧力に変換し、流体チューブによって各部のアクチュエーターに伝達する仕組みで、MS-04では流体チューブを数千本束ねた動力パイプを部分的に機外に露出させていた。

機体の構造は修理や装甲の交換が容易なセミ・モノコック構造で、チタン系超硬合金による多重空間装甲が施されていた。これはそれまでの通常兵器と比べるとかなりの重装甲と言える。探知システムにはレーザー及び赤外線センサーが頭部モノアイに装備され、ミノフスキー粒子散布下でも正確な射撃が必要であった。また機体各部に十数機のサブカメラが搭載され、パイロットの死角がないように工夫されている。

機体の主推進システムには化学燃料ロケットが使用され、姿勢制御用のバーニアは機体各部に数箇所しか設置されていない。これはMSがその四肢を使ってAMBAC(Active Mass Balance Auto Control : 能動的質量移動による自動姿勢制御)を行い、これまでと比べて僅かな推進剤の消費ではるかに効率的な機動を可能としていたからである。これこそが人間型兵器であるMSをMS足らしめている所以であり、M.I.P.社のプランを退けてこの新兵器の開発をスタートさせた最大の特徴であった。

こうしたMSの基本的な構造概念はこのMS-04で確立され、これ以降開発されたジオン製MSも基本的にこの構造を採用している。また、MS-04では初めて専用の武装も開発されている。マニュピレーターによる手持ち式の100mmマシンガンがそれで、これ以降のMSの武装も手持ち式が主流となっている。これは人間型をしているMSの汎用性を十分に活かすものであり、異なる機種間での武装の互換性といった面でも評価されるべきであろう。100mmマシンガンそのものは火力が不十分とされ、より強力な武装が求められた。

ジオン公国軍兵器開発局とジオニック社は、このMS-04を使用して様々なシミュレーションを行った。宇宙空間だけでなく、重力下、コロニー内、月面などあらゆる局面での基本的な機動、多種にわたる作業、長距離及び至近距離での戦闘などである。ここで得られたデータを元に、各部の装甲の改良や武装の開発などが進められた。そして、初の実戦型MSであるMS-05ザクTが完成するのである。


MS-04 プロトタイプザク

全 高 17.5m 自重量 57.4t 総出力 953kw センサー

有効半径

2950m
頭頂高 17.5m 総重量 72.5tt 総推力 43.0t


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