●ラ・フェリチタ第1回演奏会
 2000年6月24日(土)14:00/近江楽堂
(演奏)
 江崎浩司(リコーダー、バロック・オーボエ)
 日和崎祐介(リコーダー、フラウトトラヴェルソ)
 頼田 麗(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 内村まり子(チェンバロ)
(プログラム)
 G.Ph.テレマン:2本のリコーダーと通奏低音のための
      トリオソナタ ハ長調
 G.Ph.テレマン:リコーダーとヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音の為の
           トリオソナタ へ長調
 J.J.クヴァンツ:フラウトトラヴェルソとリコーダーのための
           トリオソナタ ハ長調
 −休憩−
 C.Ph.E.バッハ:フラウトトラヴェルソとバロック・オーボエのための
            トリオソナタ イ短調
 F.ベンダ     :チェンバロとフルートのためのソナタ
            ト長調 作品3の1
 G.Ph.テレマン :フラウトトラヴェルソとバロックオーボエと通奏低音
            のためのトリオソナタ ホ短調
(使用楽器)
 Recorder: Fumitaka Saito, copy after O.J.Bressean early 18th century
 Oboe: Tohi Hasegawa 1996, copy after J.Eenner early 18th century
 Cembalo: 1996 Akira Kubota Flemish style 18th century
 Flauto Traverso: A. Weemaels after C.A. Grenser
 Recorder: G.Klemish after Steenbergen
 Viola da gamba: 1986 Kazunari Satou
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ラ・フェリチタとは「幸せものたち」という意味だそうで今回が始めての演奏会。
昼間の近江楽堂は天井から光りが差し込み、土曜の昼下がりの音楽を実感させて
くれる。とはいえ今日はあいにくの雨。先週も近江楽堂でチェンバロを聞いたば
かりであるが、今日はリコーダー、フラウトトラヴェルソ、ヴィオラ・ダ・ガン
バにチェンバロと多彩な組み合わせてアンサンブルが楽しめる。

こういった音楽は3月に松明堂音楽ホールでラ・フォンティーヌを聴いたが、音
響は近江楽堂のほうが勝っていると思う。もちろん松明堂も音は素晴らしいが、
近江楽堂のそれはもっと耳当たりが良くて、柔らかな響きとなる。

テレマンの2本のリコーダーと通奏低音。素晴らしい。グレーヴ・ヴィヴァーチ
ェ・アンダンテ・ヴィヴァーチェの4部構成が終わったあとに江崎氏の解説が入
る。この曲は5部の続編が作曲されているとのこと。何とこれらには古代ギリシ
ャやローマ時代の女性の名前がついていると。順番にクサンティペ、ルクレティ
ア、コリンナ、クレリア、ディドーの5人である。それぞれに物語が紹介されな
がら音楽が進む。とても素晴らしい音楽で5人の女性たちのドラマを彷彿とさせ
てくれた。

続くリコーダーとヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音では、ソロがリコーダーとガ
ンバとなるため、2重コンチェルトといっても良いくらい鮮やかなな音楽である。
特にガンバの目も覚めるような調べに魅了されてしまった。素早いボーイングか
ら湧き上がる力強い響き。チェンバロがこれに和声を補強してリズムを与える。
リコーダーの柔らかな響きが調和し、テレマンの生命力に虜となるようだ。

ドイツの作曲家クヴァンツのトリオ・ソナタは、横笛トラヴェルソと縦笛リコー
ダーの組み合わせが珍しい作品。さすがにトラヴェルソとリコーダーのコントラ
ストは鮮やかで耳を楽しませてくれた。

後半からはリコーダーの代わりにバロック・オーボエが登場する。この楽器はリ
コーダーに比べると甘い音色とくっきりとした輪郭が特徴。そのためか、C.P
h.E.バッハのトリオソナタは力感に溢れていた。さらにチェンバロとフルー
トのソナタ、さらにトラヴェルソとオーボエのトリオソナタが続く。最後のトリ
オ・ソナタはテレマンの有名なターフェル・ムジーク。この曲は愛聴のひとつで
もあるためか、今日一番の出来映えだったと思う。アンコールはバロックの通奏
低音に色んなメロディがヴァリエーションとして演奏される。と同時に江崎氏の
司会とともにメンバーが紹介された。今日はバロックの繊細な響きとニュアンス
を最高の音響で楽しめた。

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