●近江楽堂バロックシリーズ2000
J.S.バッハ没後250年記念
2000年6月15日(木)19:00/近江楽堂
(演奏)
チェンバロ:曽根麻矢子
(プログラム)
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988
(アンコール)
ゴルトベルク変奏曲から
開演40分前にオペラシティに着くが、既に長蛇の列。これは、近江楽堂は自由
席で未だ開場していないため。さすがに曽根の人気は凄い。とにかく彼女のゴル
トベルクは定評があり、音の良い近江楽堂となれば、満席となることは明か。
しかしこの近江楽堂が満席になると、とても息苦しさを感じる。しかも開演中は
冷房が切られる。当然、席は後方で演奏者は見えない。それでも小さな空間にバ
ッハの名曲ゴルトベルクの調べが流れると、もうバッハの世界に引き込まれてし
まう。彼女のゴルトベルクは噂とおりの素晴らしさ。第1部終了後、20分の休
憩が入る。が、休憩なしでいっきに演奏して欲しかった。この休憩でせっかくの
集中力が途切れたようにも思える。
休憩中に冷房がかかり会場の空気が一新された。また冷房が切られ第2部の開始。
休憩でリフレッシュされ第2部がまた新鮮な雰囲気で楽しめる。が、この曲は先
日弦楽トリオによる演奏を聞いたばかりだった。あの時の素晴らしい演奏が強烈
だったためか、元祖チェンバロによる原曲が今一つ冴えない。というよりも曽根
のチェンバロにもう一歩踏み込んだ起伏の大きさが欲しかった。たしかに彼女の
チェンバロは魅力的だが、全体を引き締めるような緊張感、集中力が増せばもっ
と素晴らしい演奏となったに違いない。それに即興的な閃きといったものも備わ
ればと期待する。バッハはやはり奥の深い音楽だとつくづく実感した。