●東京交響楽団定期演奏会
 2000年6月11日(日)18:00/サントリーホール
 指揮=大友直人
 ピアノ=アンドレ・ワッツ
 コンサート・マスター=大谷康子
(プログラム)
 ベートーヴェン  :ピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73「皇帝」
 ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調作品47
(アンコール)
 J.シュトラウスU:ポルカ「雷鳴と電光」
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今日の演奏会の副題は「レジスタンス作曲家からのメッセージ」となっており、当時の歴史の流れとの関連を思わせるものの、演奏自体は至って純音楽的。ベートーヴェンの皇帝も良く聴くプログラムだが、とても新鮮な響きとワッツの華麗なピアノが素晴らしい。もちろんピアノを際立てるのはオーケストラで、実に伸び伸びと開放的なアンサンブルを聴かせてくれた。指揮者・ソリスト・オーケストラが三位一体となったコンチェルトといっても言いすぎではない。

後半のショスタコーヴィチも圧倒するアンサンブルで豪快に聴かせてくれる。今日の東響はいつも以上にパワフルで緻密な音楽を作る。いつの間にこれほどアンサンブルが向上したのかと疑うほど。第1楽章の重層をなす構築力も素晴らしく、しっかりとした低弦をベースに、この作品のもつ推進力でもって聴衆を惹き付ける。第2楽章のリズムの素晴らしさ。大友氏の巧みなタクトに全てが集中する。第3楽章のピアニッシモの緊張を経て、フィナーレの噴き上がり
の凄さ。余裕をもって圧倒する演奏である。有名な外来オーケストラにも引けを取らない出来映えに驚いた。さらに梅雨に入ったのでアンコールをという大友氏のコメントで「雷鳴と電光」が演奏された。今日の東響は最後の最後まで絶好調であった。


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