●パイヤール室内管弦楽団 with 竹松 舞
2000年6月10日(土)19:00/王子ホール
(演奏)
ジャン=フランソワ・パイヤール(指揮)
竹松 舞(ハープ)★
パイヤール室内管弦楽団
(プログラム)
ボッケリーニ :メヌエット
テレマン :ヴィオラ協奏曲
コレッリ :バディネリとジーグ
ラヴェル :序奏とアレグロ★
ヴィヴァルディ :ヴァイオリン協奏曲「四季」より夏
−休憩−
ドビュッシー :神聖な舞曲と世俗的な舞曲★
チャイコフスキー:弦楽セレナード ハ長調Op.48よりワルツ
クライスラー :愛の喜び、愛の悲しみ、ウィーン奇想曲
パッヘルベル :カノン
(アンコール)
チマローザ :オーボエ協奏曲よりシチリアーナ
モーツァルト :パントマイム
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充実のモンテカルロ「椿姫」が終了したのは午後6:15分ころ。上野から銀座線で銀座へ向うが、文化会館からメトロまでが遠い。さいわい歩道は空いていたので6:25分に地下鉄に乗れた。あとは余裕で王子ホールに着く。しかしそれにしても今日は疲れる。横山氏のピアノが魚料理で、椿姫が肉料理とすれば、まさしくパイヤールはデザートになってしまいそうである。そう感じたのも、プログラムがご覧の通りの細切れ。ちょうどプチ・ケーキの詰め合わせにも見える。
ところが、これがまた美味。ボッケリーニのメヌエットといえば、あの有名なメロディであるが、響きが美しく、しっとりとした味わい。王子ホールのデッドな音響は余り好みではないが、不思議と今日は素晴らしい音響に感じた。どうしてだろうか。ここで聴く室内アンサンブルは禁欲的なほど響かないのであるが。この秘密はアンサンブルの奏法にあるかも知れないが、とにかくパイヤールのアンサンブルは美しい。
続くテレマンのヴィオラ・コンチェルト。とても珍しい作品であるが、ソロ・ヴィオラの伸びの良さと柔らかい響きに魅了されてしまった。若手ハーピストの竹松を聞くのは始めて。前半のラヴェルはとても元気の良いハープに好感を持てたが、後半のドビュッシーではちょっと雑な印象を受けてしまった。もう少しデリカシーが欲しいところ。ハープといえば吉野尚子が定番というイメージがあるためか、竹松のハープにはもっとプラスアルファが必要と思う。
後半のチャコフスキー、クライスラーはただ流しているだけと感じた。前半のヴィヴァルディではコンサートマスターが素晴らしいソロを聴かせてくれたが、後半のクライスラーは音程が微妙に合わず、音楽としても出来が悪い。しかしフィナーレのパッヘルベルは素晴らしい。今日はコンサート漬けの一日であったが、そんな疲れを癒してくれるかのように、清清しいくらい見事な演奏であった。アンコールは2曲演奏されたが、パッヘルベルが良かっただけにアンコールは蛇足と感じた。