●サントリーホールBACH2000/フェスティバル・ソロイスツ
2000年6月9日(金)19:00/サントリーホール
(演奏)
ヴァイオリン:竹澤恭子
ヴィオラ :豊嶋泰嗣
チェロ :堤 剛
(プログラム)
シェーンベルク:弦楽三重奏曲op.45
−休憩−
J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲(D.シトコヴェツキ編曲)
(アンコール)
ゴルトベルク変奏曲より第19変奏
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6月は毎年フェスティバル・ソロイスツの演奏が楽しみになっている。今回はバッハ・イヤーということで有名なゴルトベルクが演奏される。その前にシェーンベルクを。この曲は12音技法によるものであるが、アンサンブルの緊密さはフェスティバル・ソロイスツの上手さを表現するのにぴったりの曲。彼ら3人のアンサンブルの素晴らしさは今更コメントするまでもなく、こういったシェーンベルクでも厳しい音楽ながら実に豊かな音楽として聴かせてくれる。
メインのゴルトベルクでは、もうため息が出るほど素晴らしかった。昨日のBCJのブランデンブルクはほぼ満席であったが、今日のサントリーはやや入りが少なく、それでも6割程度は埋まっている。その静寂な空間で奏でられるゴルトベルクのリズムといい、メロディといい、ハーモニーといい、これ以上のアンサンブルは望めないほど完璧。それに彼らの楽器が実に良く響く。弦楽トリオでこれだけ豊かな響きを聞かされると、こちらまでバッハの世界の素晴らしさに飛びこむしかない。それにしてもゴルトベルク変奏曲とは不思議な作品だ。チェンバロでも俄然素晴らしいが、こうした弦楽トリオに編曲するだけでも作品の価値が保たれつつ、むしろ原曲以上の美しさと喜びを湛えてる。
プログラムは地味に見えるかも知れないが、今日は本当にとっておきのプログラムと演奏。ビデオカメラも沢山入っていたので、BSで放送されると思うが、これは出来るだけ早く放送して欲しい。