●アイザック・スターン80歳記念
宮崎国際室内楽音楽祭第5回記念・東京公演
2000年5月28日(日)19:00/サントリーホール
(プログラム)
J.S.バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調 BWV.1043
ヴァイオリン:竹澤恭子 渡辺玲子
J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調 BWV.1050より1楽章
フルート:工藤重典 ヴァイオリン:徳永二男
チェンバロ:小林道夫
ドヴォルザーク:弦楽五重奏曲第2番ト長調op.77より第1楽章
ヴァイオリン:徳永二男 漆原啓子 ヴィオラ:豊嶋泰嗣
チェロ:岩崎洸 コントラバス:池松宏
シューマン :ピアノ五重奏曲変ホ長調op.44より第1楽章
ジュリアード弦楽四重奏団
ピアノ:ジョーゼフ・カリクシュタイン
ブラームス :弦楽六重奏曲第2番ト長調op.36
ヴァイオリン:アイザック・スターン チョーリャン・リン
ヴィオラ:サミュエル・ローズ 川崎雅夫
チェロ :ジョエル・クロスニック、原田禎夫
(アンコール)
クライスラー :愛の悲しみ/美しきロマン
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ごらんの通りのプログラムは室内楽の魅力を満載したもので、一級のソリスト達が勢ぞろいするのが何よりの魅力。前半は日本の著名奏者たちによるコンチェルト、室内楽がちりばめられ、後半はジュリアードSQ、アイザックスターンが登場するといった具合。
1曲目そうそうから竹澤と渡辺が火花を散らすバッハを聴かせてくれた。共に日本を代表する実力派ヴァイオリニストの共演は滅多に実現しないだけにとても聴き応えがある。続くブランデンブルクも素晴らしい。もっとも第1楽章だけだったので、チェンバロのソロが余り聞けなかったのは残念。続いてドヴォルザークの弦楽五重奏。メンバー編成はJTホール室内楽チクルスをサントリーホールに持ってきたようだが、やはり演奏はピカイチ。
後半になってジュリアードが登場。往年の演奏レベルの衰えは隠しきれないとしても、音楽の作りが素晴らしく、さすがに貫禄の名演奏。そしてスターンが登場。さすがにヴァイオリン奏法の衰えは明白だが、必要最小限の奏法によって音楽の流れを作ったりアンサンブルをまとめるのはさすがに上手い。もっとも周りの奏者たちもスターンを上手くサポート。ブラームスの渋さとか深みまでには至らなかったのは残念だが。それにしてもスターンのお元気ぶりが何より。
拍手喝采についで大きなバースデーケーキと出演者全員もステージに登場し、スターンの誕生が称えられた。アンコールはスターンのソロでクライスラー2曲が演奏。このように2時間半に及ぶ室内楽フェスティバルはとても充実していた。