●館野泉トリオ/ピアソラを弾く
2000年5月27日(土)14:00/横浜みなとみらい小ホール
(演奏)
館野泉(ピアノ)
アウドゥール・ハフスタインスドッティル(ヴァイオリン)
ブリンディース・ハトゥラ・ギルファドッティル(チェロ)
オール・ピアソラ・プログラム
<ピアノ・トリオ>
ブエノスアイレスの四季(春、冬、夏、秋)
<ヴァイオリンとピアノ>
前奏曲第1番(1943)
二調のミロンガ
イ長のタンゴ
<チェロとピアノ>
ル・グラン・タンゴ
−休憩−
<チェロとピアノ>
3つの小品Op.4
パストラル、セレナーデ、シシリアーナ
<ピアノ独奏>
3つの前奏曲
レイヒアのゲーム、フローラのゲーム、サニーのゲーム
<ピアノ・トリオ>
革命家
忘却
鮫
(アンコール)
リベルタンゴ
ブエノスアイレスの四季から夏
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館野泉のピアノはかねてより聴きたいと思いつつもチャンスがなかったが、今回ピアノ・トリオでピアソラが聴けるとは実に嬉しいこと。プログラムも多彩で、やはりブエノスアイレスの四季が圧巻。この曲は弦楽アンサンブルでの演奏が多いが、ピアノ・トリオという編成で聴くと、シンプルさが功を奏してか、ピアソラの魅力がストレートに伝わってくる。ピアノのリズムに乗って、ヴァイオリンがバンドネオン的なメロディを奏でるかと思えば、チェロの例え様もない哀愁に満ちたメロディを朗々と歌う。まさにピアソラのエッセンスがそのままホールの空間に響き渡る。
ヴァイオリンとピアノ、チェロとピアノ、ピアノ独奏と室内楽のパターンでタンゴやミロンガを奏でるという発想も面白いが、実際に聞えてくる音楽はとても品のよいピアソラを感じさせる。情熱も損なわれている訳ではなく、むしろ室内楽的緊張がピアソラをひき立てている。アンコールには有名なリベルタンゴが。ヴァイオリンとチェロで熱い想いが歌われた。