●コンチェルト・イタリアーノ/プログラムB
 2000年5月24日(水)19:00/紀尾井ホール

(演奏)
 指揮/チェンバロ/オルガン :リナルド・アレッサンドリーニ
 ソプラノ          :パトリツィア・ビチーレ
 カウンターテナー      :カルロス・メーナ
 ヴァイオリン        :フランチェスカ・ヴィカーリ
 ヴァイオリン        :マウロ・ロペス
 ヴィオラ          :エットーレ・ベッリ
 チェロ           :ルイジ・ピオヴァーノ
 コントラバス        :ルカ・コーラ

(プログラム)
 A.ヴィヴァルディ :弦楽のための協奏曲ホ短調RV134
            カンタータ「憧れのひとみのもとへ」RV682
            弦楽のための協奏曲ト長調RV151「田園風」
            カンタータ「やめてくれもうやめてくれ」RV684
 −休憩−
 G.B.ペルゴレージ:スタバト・マーテル「悲しみの聖母」
(アンコール)
 ガルッピ      :詩篇110(111)よりフィナーレ・デュエット
 ヘンデル      :歌劇「インド人の王ポーロ」よりデュエット
 J.S.バッハ   :組曲第3番よりアリア
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前回のAプロでは味わい深いバッハを楽しむことができたが、今日のBプロでもバロックの中でもとりわけ素晴らしいヴィヴァルディと、そしてペルゴレージの傑作が聴けるというもの。これは絶対に見逃せないプログラミングで、予想とおりの名演奏となって嬉しい限りである。

ヴィヴァルディの協奏曲は3楽章構成といっても3部形式の序曲のようで、これとカンタータと組みあわせるのは昨年のエウローパ・ガランテ日本公演と同じような趣向を感じさる。ソプラノのビチーレの歌と弦楽アンサンブルが織り成すカンタータはバッハのそれとは明かに異なるものの、オペラのアリアを思わせるのと同時に、何よりも歌が入ることでバロックの世界に大きな広がりを感じる。メーナのカウンターテナーはさすがに声量があって美しく伸びるアルトに惚れ惚れとするほど。おまけにこの作品は上昇するメロディを特徴としてる為か、歌とアンサンブルの掛け合いが躍動感を高めていた。前半は珍しいプログラミングでバロックの奥深さを十分に楽しませてくれた。

後半は、人類の遺産として永遠不滅といって良いペルゴレージのスタバト・マーテル。前半の通奏低音はアレッサンドリーニのチェンバロであったが、後半ではチェンバロがオルガンに代わる。さすがに音色が渋くなる。ビチーレとメーナがソロとデュオを交互に悲しみを歌って行く。その美しさは例え様もないもの。アンサンブルが小編成とあってか、特にヴォーカルとのバランスも際立ち、響きがとてもクリアー。そのため、音楽がとてもシンプルに聞え、この作品の持ち味が浮き彫りにされた感がある。フィナーレの二重唱では、今までの悲しい音楽から一転、希望に満ちた素晴らしいアンサンブルが繰り広げられ、大いに沸き立つ。アンコールは3曲演奏された。特にヘンデルのオペラは絶品!このアンサンブルでオペラの実演も見てみたい。

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