●コンチェルト・イタリアーノ/プログラムA
2000年5月21日(日)14:00/紀尾井ホール
(演奏)
指揮/チェンバロ :リナルド・アレッサンドリーニ
ヴァイオリン :フランチェスカ・ヴィカーリ
ヴァイオリン :マウロ・ロペス
ヴィオラ :エットーレ・ベッリ
チェロ :ルイジ・ピオヴァーノ
コントラバス :ルカ・コーラ
フラウト・トラヴェルソ:ローラ・ポンテコルヴォ
(プログラム)
J.S.バッハ:管弦楽組曲第2番ロ短調BWV1067
−休憩−
J.S.バッハ:チェンバロ協奏曲第3番二長調BWV1054
J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調BWV1050
(アンコール)
ヴィヴァルディ:ごしきひわ
J.S.バッハ:トッカータ ト長調よりアダージョ
ヘンデル :合奏協奏曲第3番ト長調より1楽章
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2年ほど前に来日したおりにはモンテヴェルディの素晴らしい演奏を聴かせてくれたコンチェルト・イタリアーノ。今回は3つのプログラムを携えての来日。Aプロはバッハのコンチェルトに焦点を当てたもの。Bプロはヴィヴァルディとペルゴレージのスタバト・マーテル、そしてCプロはアレッサンドリーニ自身によるチェンバロ・リサイタルとバラエティに富んでいる。今回はAとBプロをセット券で聴くことにした。
今日のプロではバッハのコンチェルト構造を探求するのがテーマだとか。特にバッハのイタリア的側面が強調される。またコンチェルト・イタリアーノという地中海的なアンサンブルで聴くと、一点の曇りもない明晰な演奏を楽しむことができた。彼らはイタリアのアンサンブルとはいえ、全く開放的という訳ではなく、どちらかといえば理知的。楽曲全体に渡って、均整のとれた一貫性が感じられ、音色の微妙な色合いも見事。
特に編成が、弦楽5部にトラヴェルソとチェンバロを加えた7声部が七色の虹のような色彩感を醸し出していたし、弾みのあるアンサンブルにバッハが実に伸びやかに響く。バッハのコンチェルトは単にリズム(律動)だけを強調すると、味気ないものとなるが、コンチェルト・イタリアーノは歌う要素も兼ね備えているようで、とても素晴らしいバッハを聴くことができた。
チェンバロ協奏曲は有名なヴァイオリン協奏曲を原曲としており、続くブランデンブルク5番とともにチェンバロの素晴らしいソロが魅力的。アレッサンドリーニによるチェンバロタッチは木目が細かく、まるで絹糸で織った生地のよう。これが風になびくしなやかさが共存している。アンコールでは「ごしきひわ」でのトラヴェルソが極上で、まさに至福のひととき。さて次回はスタバト・マーテルが最大の楽しみ。