●スプラ・アンサンブル定期演奏会
 2000年5月20日(土)14:00/カザルスホール
(演奏)
 指揮       :大谷研ニ
 エヴァンゲリスト :松平 敬
 イエス      :井口和彦
 ソプラノ1    :藤沢たまき
 ソプラノ2・女中 :斎木麻里
 カウンターテノール:坂本嘉之
 アルト・罪人   :北條加奈
 祭司・ピラト・兵士:小津準策
 ユダ       :吉成 順
 ペテロ      :吉田 良
 オルガン     :能登伊津子
 チェンバロ    :辰巳美納子
 合唱&管弦楽   :スプラ・アンサンブル
(プログラム)
 テレマン     :マルコ受難曲(TWV5:44)
----------------------------------------------------------------------

スプラ管弦楽団とは東京芸大出身者で組織されたアンサンブルで、25名の合唱を加えてスプラ・アンサンブルと呼ばれる。声楽ソロも合唱団員が兼任することをモットーにしているとのこと。今日演奏されるテレマンのマルコ受難曲はおそらく日本初演とのこと。

プログラム解説によれば、テレマンは46曲の受難曲を作曲したとか。そのうちマルコ受難曲は12曲作曲され、現存するのは3曲だけ。その3曲のうち最晩年に作曲された1759年版が本日演奏される。ちなみにテレマンはバッハよりも多作であったようで、教会カンタータは1755曲、オペラは20曲も作曲したとは驚きだ。

休憩無し1時間40分を要するマルコ受難曲はとても立派な作品で、始めて聞くスプラ・アンサンブルの演奏もおおむね良かった。マタイのテキストに比べるとイエスの死以降の下りが不充分なものの、簡素で淡々と進められるドラマ運びにスピード感を感じる。それにテレマンの音楽が決して、厳粛するぎるものではなく、もっと自由にイエスの死に感謝しようという肯定的な響きがある。流行をいち早く取り入れるテレマンならではの、オペラティックさもあり、美しいアリアも聴きがいがあった。

RETURN