●オランダ室内管弦楽団
 2000年4月17日(月)19:00/紀尾井ホール
 指揮&ピアノ:フィリップ・アントルモン
(プログラム)
 スウェーリンク:弦楽のための半音階的ファンタジア
 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調op.58
 −休憩−
 シューベルト :イタリア風序曲第1番ニ長調D.590
 ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調op.60
(アンコール)
 ロッシーニ  :歌劇「アルジェのイタリア女」序曲
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今日のプログラム、ベートーヴェンのふたつの4番はどうしても聴きたかった組合せ。しかもアントルモンの弾き振りは聞き逃せない。98年の来日公演で見せた素晴らしさからも、今回のベートーヴェンへの期待が高まる。

スウェーリンクのオルガン曲をメイヤーが弦楽アンサンブルに編曲した作品で始まり、ベートーヴェンのコンチェルト4番で早くもアントルモンの素晴らしいピアノと指揮に圧倒された。1箇所音が外れたが、それはCDの音飛びと思えば宜しい。全体はもうこれほどの演奏があるかという絶妙な歌わせ方と神々しいまでに力強い演奏だった。壷を心得ていてピアノと指揮が一身同体となった賜物だろうか。第1楽章中間部のピアノの厳粛なパッセージと清楚かぎりないオーケストラサウンドから湧き上がる力感は見事。この曲の2楽章は比較的あっけないもだが、これがまた実に流れがあって終楽章の高揚へ一気に駆け上がる。

後半のシューベルト。タイトルがイタリア風になっている為ではないと思うが、明るいイタリアの響きが醸し出されていたし、何と言っても甘い木管が素晴らしかった。そしてベートーヴェンの交響曲4番。これもライブで名演に余り接していないが、極自然にオーケストラが走り、爽快な響きと豪快な推進力に満ちていた。もう今日は久々に素晴らしいご馳走といった感じで最後はロッシーニの活力でフィニッシュとなる。

ちなみにオランダ室内とはオランダフィルのメンバーによる室内管弦楽団で、コンセルトヘボウと違って、もっとニュートラルな響きを持ったアンサンブル。さて会場にはヴァンガード・クラシックから出ているベートーヴェンのピアノ協奏曲全集が3枚組3500円で売られていた。アントルモンがオランダ室内を弾き振りした演奏で1997年に発売になったもの。全DDDの優秀録音で、何とピアノ協奏曲6番(?)まで収録されている。ライナーノートによるとピアニストのクレメンティの要望でベートーヴェンがヴァイオリン協奏曲をピアノ協奏曲にアレンジした曲だとか。実際にウィーンでヴァイオリン協奏曲+ピアノ協奏曲の二つの版で初演されたそうだ。実際に聴いてみると違和感は無く、アントルモンの巧みなピアニズムとオケ演奏が調和しているといったところ。さらに本日のライブではベーゼンドルファーが使われたが、CDではYAMAHA CFVSを用いている。


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