●ヘンシェル・カルテット
 2000年4月16日(日)19:00/カザルスホール
(演奏)
 クリストフ・ヘンシェル(第1ヴァイオリン)
 マルクス・ヘンシェル(第2ヴァイオリン)
 モニカ・ヘンシェル(ヴィオラ)
 マティアスD.ベイヤー(チェロ)
(プログラム)
 ハイドン   :弦楽四重奏曲へ長調作品74−2
 ドビュッシー :弦楽四重奏曲ト短調
 −休憩−
 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲ハ長調作品59−3<ラズモフスキー3番>
(アンコール)
 ハイドン   :弦楽四重奏曲作品33<鳥>4楽章
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聴くところによるとソリストを目指す人は多くてもカルテットを目指す人は少ないそうだ。そんな中、アメリカ若手による素晴らしいカルテットを聴くことができた。ステージに現れたヘンシェルSQの男性陣は赤のカマーベルトに赤の蝶ネクタイ、モニカ嬢は赤の帯に揃えスタイリッシュないでたち。

アンサンブルは機敏かつ大らかさもあり、音楽がことのほか良く流れる。十分な音量感があって、ハイドンでは重すぎず、軽すぎずという絶妙なバランスで音楽を推進させていた。ドビュッシーでは一変して音色が変わり、実に柔らかくヴェールをかけたような肌触り。力感も十分なドビュッシーを展開した。

今日一番の出来はベートーヴェンのラズモフスキー3番だった。適度なスピーディさとリズム感の良さでもって、爽快感に溢れる。終楽章の躍動感も充実していた。全体として先週の上海カルテットに一歩譲るとしても、ヘンシェルも見事なカルテットである。

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