●J.S.バッハ『マタイ受難曲』BWV.244
2000年4月9日(日)15:00/東京文化会館
指揮 :高橋誠也
福音史家 :大島 博
イエス :小原浄ニ
ソプラノ :高橋節子
アルト :鳴海真希子
テノール :佐藤淳一
バス :戸山俊樹
オルガン :和田純子
チェンバロ :岩淵恵美子
管弦楽 :東京J.S.バッハ管弦楽団
児童合唱 :市川市立菅野小学校合唱部
合唱 :東京J.S.バッハ合唱団
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今年5回目のマタイ受難曲。さすがに5回目となるとマタイを聴くのに根性が必要だ。もっとも約3時間半の演奏は回数を追うごとに短く感じるようになったが。
今まで聴いてきたマタイは古楽アンサンブルを主体としたものが多く、今日のように現代楽器による演奏は久しぶり。文化会館の大きなステージ一杯に整列した合唱は大規模で、オーケストラも充実の人数構成。やはりこれくらいの規模だと文化会館に響くバッハは立派。それに合唱も余裕でハーモニーを響かせ何かしら奥の深さを感じる。63番合唱「本当にこの人は神の子だった」では透明感溢れる合唱が次第に厚味を増して行く様が身震いするほど感動的だった。
エヴァンゲリストとイエスは前回の東京バロック合唱団でのマタイを歌った大島、小原の両氏で、再びあの名演を聴くことができた。が、やはり東京カテドラルの音響と違って、歌の充実感は前回の方に分がある。女声陣では鳴海のアルトが素晴らしく、彼女の持続する声量と絶妙なコントロールが特に印象に残った。39番アリアは絶品で、何とここで拍手が出たのには驚いたが、それほど素晴らしいものであった。さて次回のマタイは聖金曜日のBCJ。