●東京交響楽団定期演奏会『ユダヤ人音楽家の真髄』
 2000年3月31日(金)19:00/サントリーホール
 指揮=ダニエル・オーレン
 ヴァイオリン=コー・ガブリエル・カメダ
 コンサートマスター=大谷康子
(プログラム)
 メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64
 ピアソラ    :オブリヴィオン(アンコール)
 −休憩−
 マーラー    :交響曲第1番ニ長調「巨人」
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そろそろ桜のシーズンとなるが、ホール裏手の通りはもう咲き始めていて、屋台が建ち並ぶ花見体制となっていた。プログラムはユダヤ音楽家をテーマにしたメンデルスゾーンとマーラー。指揮は4月の仮面舞踏会を振るオーレンで、ユダヤ帽子を被った指揮姿はとても印象的である。

メンデルスゾーンのコンチェルトをライブで聴くのは久しぶり。カメダの澄み切ったヴァイオリンがホール一杯に響きわたり、東響のサウンドもいつにも増して良く響いていた。まさに会心のコンチェルトで、フィナーレにかけてのオーレンのドライブは見事。とにかく良く走るといった感じの演奏だ。アンコールに何とオーケストラ伴奏付きのピアソラが演奏された。

後半のマーラー1番。第1楽章はやや控えめ。そのためか第2楽章、弦のアクセントがとてもフレッシュである。第3楽章、第4楽章と次第にエネルギーを燃焼しつつ、フィナーレにピークを置いた演奏は痛快そのもの。オーレンの指揮ぶりも音楽の盛り上がりで振幅が大きくなり、ついには飛び跳ねてリズムを取っていた。それほどに開放感は見事なわけだが、何故か表面的すぎるような気もしない訳ではない。第1楽章が物足りなかったように感じる。とはいえオーレンの指揮は明快で曖昧なところが無いので、ホールオペラは期待できそうだ。

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