●スコラ・カントールム第9回定期演奏会
 J.S.バッハ:ヨハネ受難曲
 2000年3月20日(月)17:30/王子ホール
(出演)
 福音史家    :片野耕喜(テノール)
 イエス     :小原浄ニ(バス)
 ペテロ、ピラト :小田川哲也(バス)
 ソプラノ    :山村奈緒子
 アルト     :穴澤ゆう子
 テノール    :水越 啓
 指揮      :野中 裕
 合唱      :スコラ・カントールム
 管弦楽     :オーケストラ・シンポシオン
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今日の合唱はスコラ・カントルームで、演奏はオーケストラ・シンポシオン。キャスティング表を見て驚いたが、昨日のマタイでイエスを歌った小原氏も今日のヨハネでイエスを歌う。オーケストラも昨日の東京バッハ・カンタータ・アサンブルのメンバーが何人かいるようだ。そういった人達は大抵コレギウム・バッハ・ジャパンのメンバーでもあったりするところが面白い。

ヨハネ受難曲はマタイと違って楽譜が完全に完成されておらず、しかも何種類かのヴァージョンがあるとのこと。今回は新バッハ全集に基づくものの、1739年のスコアに従って演奏される。なお王子ホールのサイズを考慮してチェンバロはカットするそうだ。が、このホールは確かにて低弦が良く響き、古楽器の雅な音色の多彩さを思うとチェンバロが無いほうが正解だったかも知れない。

福音史家については昨日のマタイが強烈な印象だったためか、今日の片野氏は物足りなさを感じてしまう。イエスの小原氏はさすがヨハネでも威厳に満ちていた。今日も女声陣が素晴らしく、オーケストラ・シンポシオンの絶妙なソロとのハーモニーも素晴らしい。さすがに古楽器のプロフェッショナルたちの演奏は常に新鮮な音楽を醸し出す。合唱も劇的。小人数、もっとも王子ホールには大合唱は不可能だが、とても隈取のはっきりしたコーラスで、ドラマの盛り上がりの抑揚も自然だ。少し残念なのはホールの響き。やはりドライで、合唱が歌いきったあとの全休止では響きが不足する。少なくともカザルスホールなら、素晴らしい仕上がりになったのに違いない。なお今回の公演に関するインタビューなどがスコラ・カントルームのページ
http://www02.u-page.so-net.ne.jp/jb3/niwasse/schola/index.html に掲載さ
れている。ついでながらオーケストラ・シンポシオンは
http://ux01.so-net.ne.jp/~n-rythm/symposion.index.html 。このところ毎週バッハを聞いているが、来週はサントリーホールでの鈴木雅明氏のオルガンミサを聴く。

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