●早稲田大学・日本女史大学室内合唱団&東京バロック合唱団
J.S.バッハ『マタイ受難曲』BWV244
2000年3月19日(日)17:00/東京カテドラル聖マリア大聖堂
(出演)
福音史家/テノール :大島 博
イエス :小原浄二
ソプラノ/女中1 :丸山朋子
アルト :小原伸枝
バス/ピラト :野本立人
ユダ :岡村 要
ペテロ :田中国治
証人1 :青木洋也
証人2 :竹田光宏
女中2 :藤澤章江
司祭長1 :稲葉正俊
司祭長2 :岡村好偉
ピラトの妻 :小倉君代
管弦楽 :東京バッハ・カンタータ・アンサンブル
合唱 :東京バロック合唱団
児童合唱 :エリザベト音楽大学付属音楽児童合唱団プエリ・カンタンテス
指揮 :鈴木 仁
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先ほどの都響が終わったのは15:40。池袋から目白にある東京カテドラルまでは比較的近いため、会場に早く着いてしまった。開場までの20分あまり、大聖堂の入り口で待つことになるが、今日は風が凄い。おまけに周辺は広大な敷地のため、風の吹き溜まりになっていた。ようやく大聖堂に入れて、一安心する。内部は暖房で暖かい状態になっている。それにしてもこの大聖堂は奇抜な形をしていて巨大だ。
演目は今年3度目に聴くバッハのマタイ受難曲。これを残響時間6秒という伽藍で聞くとさすがに素晴らしいもの。素晴らしいのは会場だけでなく、そのアンサンブルと合唱もまた素晴らしい。特に凄いのは福音史家を歌った大島氏とイエス役の小原氏。なかでも大島氏はミュンヘンでヘフリガーとフィッシャー・ディースカウに師事し、アバドBPOのジルヴェスターにも出演したというキャリアの持ち主。キャリアが凄いから良いというものでもないが、今日の福音史家の素晴らしさといったら先週聴いた聖トーマスのマタイの比ではない。それに小原氏のイエスもすこぶる威厳に満ちていてイエスたる所以の存在感に溢れていた。女声陣ではソプラノがとても上手く、アルトの小原嬢はBCJで多くのソロを歌ってこられた方であるが、少しもの足りない感じがした。
アンサンブルは古楽器によるもので、オーボエ・ダ・カッチャなどの音色も素晴らしく、全体に渋い響きを醸し出していた。メンバーにはBCJの方も居られた。また桐山健志はヴィオラを演奏されていた。合唱も良く響き、長い残響にこだまする歯切れの良さが印象的である。激しい場面では鋭くスタッカートを効かせた合唱がリズミカルでもあった。これは長い残響を上手くコントロールため工夫と思われる。指揮者の鈴木氏はリリンクなどにも師事したそうで、今日のマタイではコラールとアリアをことのほかダイナミックに対比づけていた。
やはり大聖堂で聞くバッハは最高。いわゆる教会の木の長いすに3時間以上も腰を掛けていたのだが、素晴らしい集中力のため、あっという間に終わった。さて明日は「ヨハネ」受難曲を聞きく。