●天満敦子/無伴奏ヴァイオリン・コンサート
 2000年3月17日(金)19:00/紀尾井ホール
(プログラム)
 J.S.バッハ:無伴奏ソナタ第1番ト短調BWV1001
 バルトーク  :無伴奏ソナタ
 −休憩−
 J.S.バッハ:無伴奏ソナタ第2番イ短調BWV1003
 J.S.バッハ:無伴奏パルティータ第2番ニ短調BWV1004
(アンコール)
 ポルムベスク :望郷のバラード
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昨年12月の無伴奏リサイタルの情報を知ったとき既に売りきれ。しかも追加公演も売切れであると知ってさらに驚いた。さらに追加の追加が開催されると聞き及ぶにあたって、今度は何としてもゲットしなくてはと決心。発売日に紀尾井に電話してようやく予約できた次第。

同じプログラムで3回とも売りきれになるという何とも凄い人気の天満敦子。これは今日のリサイタルを聴けば十分納得できた。何とも不思議な魅力に溢れていて心に響く音楽を聴かせてくれることかと。プログラムも実に魅力的でオールバッハかと思いきやバルトークの無伴奏を組みこむなど、バッハからバルトークまでを俯瞰するような広がりすら感じられるもの。

やはりこのように注目されるコンサートは開演まえからワクワクする。こんな期待を十分すぎるほど叶えてくれる天満のヴァイオリン。満員のホールもほとんど無音の静寂につつまれ、バッハが荘厳に響き、高い天井からも燦燦と響きが降り注ぐさまは至福の一時だった。

ちょうど最前列やや左から聞いたが、その演奏の安定感は抜群で、磨かれたテクニックもさることながら、噂に聞く音楽性は一時も惹きつけて耳を離さない。ことバルトークに至っては、超絶技巧の連続となるが、そんな難しさは微塵も感じさせずに、とてもオーガニックな温もりを感じる。ストラディヴァリとイザイが使っていたという弓が生命を吹返したようだ。

後半はソナタ2番からパルティータ2番のシャコンヌという所謂ヴァイオリンの王道をゆくプログラム。前半の素晴らしさ以上に、後半はまさにバッハの音響世界が絶対的な力で進むのを見た。ある時はオルガンの響きかと思うほどに天満のヴァイオリンの音色と抑揚は絶妙。最後に彼女から感謝の意をこめたトークがあり、「望郷のバラード」が演奏。素晴らしいソロ・リサイタルであった。


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