●ライプツィヒ聖トーマス教会合唱団&ゲヴァントハウス管弦楽団
 2000年3月11日(土)18:00/横浜みなとみらい・大ホール
 J.S.バッハ『マタイ受難曲』BWV244b(初期稿)
 指揮:ゲオルク・クリストフ・ビラー
 ソプラノ:キルステン・ドローペ
 アルト:ズザンネ・クルムビーゲル
 テノール(福音史家):マルティン・ペッツォルト
 テノール(アリア):マルティン・ペッツォルト
 バス(イエス):マッティーアス・ヴァイヒェルト
 バス(アリア):ゴットホルト・シュヴァルツ
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今年2回目のマタイ受難曲は由緒正しい聖トーマス教会合唱団とゲヴァントハウスによるもの。聖トーマスは何度も来日しており、マタイは何度か聴いたことがある。前回はペーター・シュライヤーの福音史家が素晴らしかったことが記憶に新しい。

今回はペッツォルト氏の福音史家であったが、ななかなかの出来映えだった。もちろんシュライヤーほどのレベルには遠く、前半はやっぱり力不足を所々感じた次第。ついでながらイエス役ヴァイヒェルト氏の貫禄のなさにも不満を覚えた。これに比べ女声ソロ陣は優秀でとても素晴らしい歌を聞かせてくれる。このように前半は満足できるものではなかったが、後半からは素晴らしい演奏となり、バッハの魂が乗り移ったかのような出来映え。

今日のマタイは初稿版ということで通常のマタイと違っている点も多々あった。特に57曲アリアでヴィオラ・ダ・ガンバの代わりにリュートが用いられたのはとても新鮮で、いつもとは違った美しさを感じた。クルムビーゲル女史のアリアとヴァイオリンのデュオは最大の聞き物で、聖トーマスのコラールも感動的だった。


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