●セレス・アンサンブル/バッハ・コンチェルトの夕べ
2000年2月20日(日)19:00/津田ホール
(演奏)
浦川宜也(ソロ・ヴァイオリン)
小畑善昭(オーボエ)
松原勝也(コンサートマスター)
河野文昭(コンティス・チェロ)
杉山佳代(チェンバロ)
セレス・アンサンブル
(バッハ・プログラム)
ヴァイオリン協奏曲ニ長調BWV1053a
ヴァイオリン協奏曲ホ長調BWV1042
ヴァイオリン協奏曲へ短調BWV1056a
−休憩−
オーボエとヴァイオリンのための協奏曲ハ短調BWV1060a
ヴァイオリン協奏曲ニ短調BWV1052a
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浦川主宰のセレス・アンサンブルは主として在京オケの演奏家から構成されている。プログラムは多分に音楽の考古学的考察に彩られており、復元されたコンチェルトの名曲の数々がテーマとなっている。特にチェンバロによる通奏低音をクローズアップする試みで、チェンバロを中央に据えたレイアウトで演奏された。
良く聴くヴァイオリンコンチェルトは室内アンサンブルとソロ・ヴァイオリンというのが一般的な捉え方であるが、今日の演奏では左手のヴァイオリンソロと中央のチェンバロ、右に配置したチェロが織り成すトリオ・ソナタがコンチェルトに内在していることを強調していた。これは面白い試みであり、実際音楽もそのように聴けることを教えてくれたようである。
浦川のヴァイオリンはブリリアントさは無いものの、その重心は安定しており、響きの大きさが印象的である。いわゆる図太さがバッハのコンチェルトに意外にも適していることを実感した。このことはオーボエとのコンチェルトでも健著であり、オーボエもまた豊かな響きでヴァイオリンと呼応しあっていた。
しかしバッハのコンチェルトを2時間に渡って聞きつづけると、バッハの通奏低音のリズムを中心にメトロノームを刻むような感覚が体に染み付くような気分になってしまった。これがバッハ宇宙の律動なのだろうか。それにしてもマーラー、ブルックナーに引き続きバッハとなればさすがに疲れる。