●ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
2000年2月18日(金)19:00/サントリーホール
 指揮:リッカルド・シャイー
 ソプラノ:ユリアーネ・バンゼ
(プログラム)
 J.S.バッハ:管弦楽組曲(G.マーラー編曲1909年)
         序曲/ロンドとバディネリ/エア/ガヴォット1&2
 −休憩−
 G.マーラー :交響曲第4番ト長調
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当初予定されいたバッハの管弦楽組曲1番はマーラー編曲版に変更された。これはますます面白いプログラムになったものだ。マーラー版組曲を聞くのは始めてだが、バッハを尊重しつつ、楽器編成にオルガンが加わるなどのアレンジがあり、興味深いものであった。

まずオーケストラレイアウトが奇抜。ステージの第1半円の左右にヴァイオリンを、その内側にヴィオラとチェロ。指揮台のすぐ前にフルート2本を。その後方にチェンバロ。その右隣りにクラリネットを。ステージの第2半円周は空白にして、第3円周の中央にトランペットを配置し、その右にオルガン奏者。おそらくトランペットは音響バランスを考慮して後方に配置したのだろう。

この配置が成功していたのは第1音を聞いてすぐに実感できた。半円周に集結した弦楽アンサンブルのハーモニーは柔らかく、そして求心的なまとまりがあった。弦に弾みがあって、しかもそのアンサンブルの呼吸がまた良い。

弦に取り囲まれたフルートの配置は、弦とハーモニーしつつもフルートがしっかり主張できることをクローズアップしているようだ。メロディだけでなくその通奏低音的扱いが、素晴らしいリズムを生み出していることが、よく分る。3台のベースも豊かな響きを持っていて、オルガンの補強と共に、オリジナルに奥行きの深さを与えていた。

さてメインディッシュのマーラー4番も素晴らしいもの。コンセルトヘボウの特徴は各パートのソロ奏者が卓越したテクニックと美しい音色を持っていること。その特性を十分に活かしたような演奏であった。各管楽器のソロは絶妙で、いずれのパートも存在感が十分。互いを主張するのと同時に全体としてまとまる。いわゆる室内樂的マーラー演奏である。そのためか常に新鮮な感動でもってマーラーを楽しめたし、シャイーの指揮もリズムや抑揚の付け方もリーズナブル。いわゆる作られた音楽を意識させない自然さが印象的である。終楽章はまさに天国的な響きで、バンゼの素晴らしい歌とともに音楽が昇華する。オケとのバランスから彼女の声量はやや小さいと感じたが、陰影に富む歌は十分すぎるものであった。

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