●クイケン・バッハ・フェスティバル・イン・ジャパン
 J.S.バッハ没後250年記念
 2000年2月13日(日)14:00/佐倉市民音楽ホール
(演奏)
 バルトルド・クイケン(フルート)
 寺神戸 亮(ヴァイオリン)
 ヴィーラント・クイケン(チェロ)
 ロベール・コーネン(チェンバロ)
(プログラム)
 ヨハン・セバスティアン・バッハ
  フランス組曲第6番BWV817
  無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調BWV1004
  −休憩−
  無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調BWV1013
  無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調BWV1011
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今年はバッハ・イヤーということでバッハ・プログラムを少なくとも毎月1本は聞きたいと思う。1月はオペラとのバッティングなどによりオール・バッハの演奏会には行けなかったが、2月の第1弾は有名なクイケン・アンサンブル。今日がその初日にあたり、バッハの無伴奏作品ばかりを集めたもの。いずれもバッハの名曲中の名曲ばかり。

コーネンによるフランス組曲。所々ミスタッチはあったものの、安定したリズムで心が和む。フランス組曲はCDで良く聞いているので、ライブとの比較が面白かった。佐倉音楽ホールはややデッドな響きのため、耳を澄まして聞かねばならないが、かえってこういった聞き方で音楽への集中力を高めることがでる。

寺神戸の無伴奏パルティータ。これも大いに楽しみにしていたプログラムで、予想通り、実に美味しい演奏だった。有名なシャコンヌをもつ第2番のパルティータとなれば、つい構えた演奏となりやすいが、力みのない自然体を感じさせる。ボーイングがごく自然に流れ、響きが空間から湧き出してくるが如し。音の厚味も十分にバッハの世界が見えた演奏だった。

バルトルドの無伴奏フルート。それはあたかも羽のような空気の重なり。一度放たれた響きは、その残響が次ぎの響きに重なり、音の連なりを聞き取るのがとても楽しい。そんなポリフォニックさに感心しつつトラヴェルソ一本で、実にまろやかで柔らかい響きを作り出すとは驚いた。

ヴィーラントによる無伴奏チェロ。今までと違って、音楽の重心がぐっと下がり、安定感抜群の演奏。中音域の肉声に近い響きも心地よく、かろやかなパッセージの流れ。ガボットのリズムとジーグの躍動。いずれをとってもバッハの楽しみを存分に味わうことができた。

アンコールは全員でアンサンブルを2曲。今までの無伴奏が集まると、これまた素晴らしい音響空間。来週の「音楽の捧げもの」は是非聞きたいところだが、スケジュールが合わないのが残念。

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