●キーロフ・オペラ日本公演
チャイコフスキー作曲『スペードの女王』
2000年1月29日(土)18:00/神奈川県民ホール
演出 :アレクサンドル・ガリーピン
指揮 :ワレリー・ゲルギエフ
ゲルマン :ウラジーミル・ガルージン
トムスキー伯爵 :ゲオルギー・ザスターヴニィ
エレツキー公爵 :アレクサンドル・ゲルガロフ
伯爵夫人 :イリーナ・ボガチョーワ
リーザ :イリーナ・ロスクートワ
ボリーナ :ラリッサ・ジャチコーワ
マーシャ :スヴェトラーナ・ヴォルコワ
プリレーパ :オリガ・トリフォノワ
チェカリンスキー:ニコライ・ガシーエフ
スーリン :エフゲニー・ニキーティン
ナルーモフ :ゲンナジー・ベズズベンコフ
チャプリッキー :ウラジーミル・ジヴォピスツェフ
家庭教師 :オリガ・マールコワ=ミハイレンコ
式典長 :ウラジーミル・ジヴォピスツェフ
ミロヴゾール :ラリッサ・ジャチコーワ
ズラトゴール :ゲオルギー・ザスターヴニィ
キーロフ歌劇場管弦楽団・合唱団・バレエ団/TOKYO FM少年合唱団
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今回のキーロフ・オペラ日本公演で最も傑出した出来の公演だった。オランダ人は不発として、前回の「運命の力」を大きく上回る内容に大いに満足した。そもそも序曲の開始から引き締まったアンサンブルで、すぐさまオペラに惹き込まれた。オーケストラも完全に開眼したようで、ゲルギエフの気合が見事音となってホールを埋め尽くすのは圧巻。それに舞台もモダンな演出。カーテンを多用するアイデアも面白い。カーテンの流れで場面を変えたり、主人公たちを登場させるのは、時の流れと悲劇へ向う運命を感じさせる。
舞台のシンプルさを補うのは、美しくコーディネイトされた衣装。特に「忠実な羊飼い」の仮面劇では、アリアやバレエがは視覚的にも十分満足させてくれた。この時のロココ情緒豊かなオーケストラサウンドも特筆すべきで、オーケストラは一本調子ではなく、柔軟さも備えている。歌手ではガルージンのゲルマンが圧倒的に素晴らしく、ゴルチャコーワの代わりに歌ったロスクートワもかなりの出来映え。合唱も今回の3公演のうち最も素晴らしかった。これでやっとゲルギエフ&マイリンスキーの強力コンビを体験できた訳だが、今年の夏のザルツブルクでも1度だけ「スペード」が上演される。これにはドミンゴとゴルチャコーワが歌う予定。