ゆず「トビラ」ツアー終了



「トビラ」ツアー全31公演が全て終了した。「ゆず」もスタッフも初めての経験の長い長いアリーナツアーだった。正直とても疲れた。

今回も高い目的意識を持って意見を出し合い、馴れ合いを無くして良い緊張感を持ってツアーを回ろうとした。途中に世紀をまたぐという何も変わらないけど精神的な転機もあったりしたけど。また、10公演ずつに大きくわけてブロックに分けて前半、中盤、後半と考えて目的意識をバンドと共に考えていった。良い演奏を目指したり勢いを出そうとしたり。リハーサルの段階からかなりの意見交換をしていたので、目的意識はかなりの部分で統一されていったと思う。新しいメンバーのミキオ君と秀樹はツアー途中からどんどん良くなっていったし、自分を出せていけたと思う。残り何本はもっともっと出来ると連日話し合ったりした。


今回はステージも構成も新しい「ゆず」の一面をどう造り出すかが問題だった。この変化に観客一人ひとりが自分が今まで描いていた「ゆず」像と現実の「ゆず」をどう捉えていくのだろうか?とても怖いトライだったと思う。そしてそれはどう映ったのだろうか?ある意味突き放してしまうような「何処」「ねぇ」などは今までにない楽曲だったと思うし、でもそれも今の「ゆず」のとても重要な楽曲なのだから。また、「午前九時の独り言」は素晴らしいラブバラードだけどその中のメッセージはとても意味が深いと思う。つまり1曲1曲ごとの持っている意味合いとかをステージで今後どう伝えていくかがとても大事な要素だと思う。今回のステージはバンドとともに「ゆず」の持ってる新しい試みは出来たと思う。それは「未知との戦い」でもあったわけで、初日の横浜アリーナの静けさは今後これがどう変化していくのか不安と期待が入り交じった感覚だった。

今回のライブでの見せ所は何ヶ所かあったけど過去の様な人間を使ったパフォーマンスや映像を使った仕掛けを極力避けて音楽を聴かせる目的を目標にした。それでもオープニング、中盤での仕掛け、エンディングでの見せ方などをスタッフと「ゆず」の二人で意見を出し合いながら決めていった。まず、オープニングは「ゆず」のライブでは初めての振り落とし緞帳をした。それもR状の直線でないもの。普通は落としやすい直線の幕を使用するのだが、サイドの席を考えて少しでも観れるように考慮してのトライだった。電磁弁を使用しての振り落とし、幕の素材はパラシュート幕で狙い以上の素晴らしい演出が出来たと思う。シミズ舞台工芸の竹平さん(「竹ピー」)ありがとう。そして、毎回毎回の31回の振り落としをばっちり決めてくれたシミズ舞台工芸の「堀ちゃん」全ての面で素敵でした。

中盤での「ゆず」コーナーはあえて新曲だけにした。ここで昔の曲をやるとどうしても新しいトライが弱くなってしまうからだ。だからこそ、そのコーナーの最後の「シャララン」の後にあえてオリオンと一緒に「サヨナラバス」演奏した。当初は「サヨナラバス」は無かった。アコーステッィクコーナーで「サヨナラバス」をやって締めた後に、後半戦への気持ちが変わっていくのはとても良い狙いだったと思う。


本編での見せ所に「ゆず」の浮遊があった。巨匠鶴岡さん(鶴チャン)の発想だった。「ゆず」のステージではおなじみにLED画面を使っての演出で何が出来るか。LED画面を使った大きな動きで何か出来ないか?LED画面を半分に分割して動かす。そもそも今回のステージを考えるにあたって、毎度おなじみの黒幕BL/DG(ビーエル)黒木氏の発想でマジックミラーを使ったステージってのがあった。渋谷駅前をはじめ最近のビルに多いミラー系の窓を多用したビルから発想したステージ。開場時は左右のミラーに隠れていてミラー越しLED画面を使い映像効果を出し、何処かでそれを動かして大きな画面へ移行していこうという狙い。そして、それを当てはめる楽曲、、、。終盤へ流れていく大事な見せ所で、どうするかをみんなで考えた。鶴岡さんのアイデアを中心に発想とアイデアが盛り込まれた所だった。また、照明的効果で照明の清水 淳さんのライトカーテンでの効果も素晴らしかった。そして、移動時間を考えて1分間のインプロヴィゼーションをバンドで考えた。ゲネプロで取りあえずLED画面その動きをやってみたら1回でばっちり決まってしまった。それはそれはとても見事で感動したものだ。そうそう巨匠鶴岡さん、4月4日発売の今回のライブビデオ期待してますよ。まだまだ鶴チャンはツアーが終わんないんだね。近いうちに陣中見舞いします。頑張ってね。


今回のステージセットは黒幕BL/DG(ビーエル)黒木氏の発想を中心「トビラ」というアルバムを意識したものになった。だから「トビラ」は不可欠だった。そして「飛べない鳥」の「羽根」、幸せを意味する「ハート」。これらをモチーフにマジックミラーと合わせてステージセットが考えられた。色はCDの「白」をモチーフにして「白」を前面に出しての統一感のステージだった。横浜公演は条件もあって「羽根」をここだけ降らせた。ただ、羽根が降ってきて実存するものに観客は気持ちが傾くものだ。客席に「羽根」が降ったことで歌がないがしろにされてしまい、折角の歌を聴くのを忘れて「羽根」に気持ちがいってしまった。それはもちろん歌ってる岩沢厚治にも良い影響ではなかったし、次曲の準備中(《M C》)になっても羽根を取りあさってる観客(それはとてもしょうがないこと)を観て、それからは二度と羽根を降らそうという考えが出来なかった。ただ、客席遠方から観た羽根は素晴らしく綺麗で美しかったのだが、、、。残念。

ハートは今回のステージのシンボルだった。曲ごとに良いポイントでピンク色に輝いていた。あれだけセットに同化するとは思わなかった。

曲順を決めていたとき1曲目の「幸せの扉」とアンコールでの「いつか」は決まっていた。夏の野球場の時に冬まで「いつか」は封印していた。スタッフも「いつか」をとても大事にしているのだ。打ち合わせで、アンコールの最後に「午前九時の独り言」をやるなら演奏の最後にオリオンを一人ずつ帰すのはどうかという提案をした。1度リハーサルをやってるときはたち切れになっていたアイデアを通しリハーサルの時に岩ちゃんが思いだしてやってみようとなった。何度かのトライで形になって、順番も左右に順に送り出そうと。バンマス伊藤隆博が最後に送り出された後に残った「ゆず」の空間がたまらなく良い空間になった様で好きだった。楽しいパーティの後みたいな、、。そんな独り言なんだよね。


ツアー最終日は楽しめた。特に今回は長く辛い部分が見え隠れしていて、みんなで頑張ったって気がする。良いスタッフが多かった。人数も毎回毎回増えていて初参加も多く、統一感を保つのは難しいけど、仕込みを繰り返し、リハーサルを重ねていき、意志の疎通を図ってみんなで頑張ったって気が本当にする。特にツアー初参加、初ツアー経験の鳶(トビ)の連中の打ち上げでの嬉しそうな顔は最高だった。若い連中の勢いはとても怖かったけど今ではとても感謝している。またやろうぜ〜!!。別の現場でも頑張れよ!!

そんな素敵な連中を最終日の「午前九時の独り言」の「〜ラララ」の合唱のところで舞台に整列してもらった。トラックのドライバーも電源担当も音響のシステム管理も、、、。みんながあってツアーが成り立ってるんだからね。ツアーの最後を飾る部分だからこそ胸を張ってライトを浴びて欲しかった。メンバーに内緒にリハーサルしたけど、本番が一番格好良かったぜ。最高にいかしていたぜ!!みんなありがとう。そしてみんなまたやろうぜ〜!!

一人でも多くのファンの方々に納得のいくライブを目指して「ゆず」「オリオン」「スタッフ」が頑張りました。期待に沿えるライブが出来たかどうかは観に来て下さった一人ひとりにしか判りません。でも、僕らは僕らなりに目指した物に向かって頑張ったと思います。31本の公演を全てにおいて。打ち上げでは「ゆず」「オリオン」「全てのスタッフ」が朝まで盛り上がりました。大合唱もあったりして、、。「トビラ」ツアーは終わりました。みんな想い出になりました。それはとても良い想い出です。失敗も成功も今では全てが想い出です。良いツアーだったと思います。「ゆず」の北川悠仁、岩沢厚治、お疲れさん。そしてありがとう。「ゆず」が無ければ僕らは出会わなかったし、こんな素敵な想い出は創れなかったんだからね。また、次も頑張ろう。オリオンもだね。お疲れさん。



最後にいろいろ「ゆず」に対する御意見、御感想をいただき感謝します。マナーの問題も多くのファンが考えてくれていると思います。一人ひとりが自由に音楽を楽しんで欲しいです。大きな拍手は「ゆず」も「スタッフ」も嬉しいものです。大きな感動をみんなで分かち合うために良いライブを目指してこれからも一人ひとりが考えて行って欲しいし、我々スタッフ切磋琢磨して行こうと思います。6月にはとても大きな野球場が舞台になります。みんなで大きな感動を創りましょう!!

   
   2001/2/ 6 自宅にて

恒例のツアーファイナルの集合写真( マリンメッセ福岡にて)