「ゆず」〜熱闘!Bomb踊り〜終了(2000.7/22~7/30)



「ゆず」の〜熱闘!Bomb踊り〜全4公演(+渋谷 ON AIR EAST)が阪急西宮スタジアムを終え全て無事終了した。心配された雨も殆ど降らずにリハーサルと仕込みの時降ったくらいですんだ。彼らの「運」はやはり凄いと思う。

今回の目的(テーマ)は「〜熱闘!Bomb踊り〜」そして「祭り」だった。以前、渋谷公会堂でのライブも「祭り」をテーマにやったが、規模も大きく、内容も比べ物にならないほど大仕掛けが揃った。問題は、野外での公演なので、いろいろな外的要素が多く本当に多くの神経を使った。「風」「雨」「騒音」などから「時間的な仕込み」おまけに「嵐」まで、、。本当に本当に多くのトラブルとの戦いでもあったと思う。でも、4本を終えて言えるのは「無事」だったこと。そしてやろうとしてたことを全てやれたこと。

今回のセットプランも陰の仕掛け人であるDG(ディスクガレージ)の黒木氏のステージ全体のプランが先行した。野球場の中に野球場のセットを組む。それも横浜球場のセットをエポック社の「野球盤」をモチーフに。照明灯のコピーは大きいのと小さいのも発注して、大小の4基は今回のポイントになった。ただ、横浜と西宮の照明灯の形が違ってたのが残念だけど。セットのは横浜がモチーフだったので、、。大きいのは風の問題が無ければ、多分「嗚呼、青春の日々」のイントロなんかで下からせり上がれば良かったのだが残念。舞台施工の竹平氏の「自然には勝てないよ」は今回の名言で諦めた。

スリム管をセットのグランド面の塁間と外野フェンス(バンド台との境)に埋め込みんだ。これは遠く離れた高い席の人にしか解らないが「葉月の雨」ではとても大きな効果が出てたと思う。大小の照明灯の外側にもスリム管、そして大きい照明灯の上に赤い非常灯の点滅まで作って凝っていたのを分った人はいるのだろうか?また、大きな照明灯は照明家の清水 淳(まこと)氏が「ゆず」とか数字の「1、2、3」などを組み合わせて出していた。大きな仕掛けの中で細かい仕掛けが凄く効いていて楽しめたと思う。

今回のテーマである「〜熱闘!Bomb踊り〜」。これには打ち合わせの段階からラッキィ池田氏の名前が上がり、振り付けをお願いして、出来れば出演もお願いしてみようと考えた。そして快く承諾していただいて4本とも出演もお願いした。良い方でライブでも自分の出番後も最後までステージを観ていて感想を言ってくれた。しっかり場当たりの練習、幕張でのゲネプロ(本番と同じセットでのリハーサル)にも駆け付けてリハーサルをした。ライブの中盤での出演で、かなり出にくい場面でのお願いだったが、人柄も良く楽しめるステージになったと思う。そして、振り付けも簡単だけど実は難しい事にも最終日に実感したし、、、。

今回のもう1つのトライとしてホーンセクションを取り入れることだった。いくつかの候補の中で「真心ブラザーズ」のライブを観に行って「マウンテンホーンズ(上石氏(Tp) 西岡氏(Tp) 首藤氏(A.Sax) 田口氏(T.Sax))」に決めた。ただ「ゆず」のライブでの4人のホーン隊をどう取り入れていくかは大きな賭けだった。それは動いてくれるのか?決めのポーズをしてくれるのか?アレンジをしてくるのか?オリオン(サポートメンバー)とは上手く奏でることが出来るのか?、、、。とても心配事が多かった。でも、何回かのリハーサルをして行くと和んで出来た。そして、大きな出来事として「Theme〜ひと夏のゆずマン〜」をホーンアレンジしてくれたことだ。この曲はCDでは子供が歌ってる曲で、北川悠仁は出来ればライブでも子供に歌ってもらいたいと願っていたのだ。

それで構成の問題で悩んでたときに誰かのひと言で決まった。それでお願いしてホーンリーダーの上石(おさむ)さんがアレンジをしてきてくれたのだが初めて聴いたときの感想はひと言「Happy」だった。今回の構成で中盤の最高の見せ所に「ジャニス」でのトーチがあった。トーチとは「生火」を使った特効で、瞬時に発火するものでかなりの視覚的効果の特効なのだが、それを今回の「明」と「暗」の切掛けにした。それをつなげる大事な要素を探していたときの「Theme〜ひと夏のゆずマン〜」のホーンでの流れで出来上った。

毎度「ゆず」構成作りの凄さはあるのだが、二人の登場は今回は「夏色」のパロディから始まり、自転車での登場はすんなり決まった。公演後、北川悠仁的には久々のヒットと喜んでいた登場だったのだが、僕も自転車の登場が世界で一番似合うバンドだと思った。それで1曲目の「夏色」は決して1曲目とは言わないで「奇襲」と呼ぶんです。岩ちゃんの素敵なバラードの「なにもない」から前半を締めくくるのは「ゆずメドレー」。これは本当に良かった。彼らの「素」が何万人を前にしてもしっかり伝わっていたと感じた。そして、「ゆず」に関わりのある人へのインタビューから「岡村音頭」へ。「岡村音頭」の空気感を変えるための「Theme〜ひと夏のゆずマン〜」からサニーのソロから「ジャニス」へ。ここで野球場の本物の照明灯を消して、仕込んだ照明での「暗」の世界。そして「ジャニス」の「暗」から一転して一気に「向日葵ガ咲ク時」で「明」へ世界を変えていく。圧巻の「嗚呼、青春の日々」は今回のライブのテーマでもあった力強さが出てたと思う。照明格好良かったな〜。

「未練歌」は「未練デカ」のタイトルで前回の秋(音)楽旅行とは別ヴァージョンを作った。谷 隼人さんは僕の世代で「キーハンター」の思いが強く、収録日はいろいろお話をさせてもらった。

野外ということで「花火」は大事な特効。横浜では多くの規制があり、おまけに2日目は横浜に波浪注意報が出て、舞台裏では打ち上げられるかドキドキの進行だった。そうそう、先程の「トーチ」での「生火」は横浜球場では最初の「裸火」だったのだ。過去横浜球場では「裸火」は禁止されていたのが、今回スタッフの頑張りで許可が出たのだ。本当に素晴らしいことだった。「花火」は夏の風物詩だけど何処か寂しさを伴っていて、最後の一発が終ると何故か「終った」って気がする。だからこそ楽しい「少年」の最後に打ちたかった。

アンコールは「葉月の雨」で決まっていた。この曲のスケールの大きさが出せれば良いと思いアンコールになった。本編では何処にも入れる場所が無かったのも事実。アンコールでスリム管の効果も出せるし。今回、野球場でのライブなので「ウェーブ」が起こってしまい、それをどう受け止めるかが難しかった。僕らは「音楽」を伝えたいのだが、アンコール待ちでの観客の流れをどう受け止めるか?これからも大事な問題だと思う。

そして、二人だけの「友達の唄」。それも中洲(観客席の中央)のリフター上という場所で。ここは非常に条件が悪い場所で、音響システム(スピーカー)は舞台のサイドにあって、そこから大音量が観客席に向かって出てるのだ。それで、その観客席ではその距離が離れるほど音がずれるのだ。今回の中洲のリフターまではおよそ60メートルも離れてる。そこでギターだけの演奏で、もちろん「歌声」は実際の「声」と聞こえてくる「声」とでずれがあるから歌いづらいのだ。もちろん、それに対しての対応をしてるが、それでもここでは毎回二人は最後の戦いを自分達と戦っていたんだと思う。普通は出来ないことでも「観客」という凄い力が彼らを歌わせるのだと思う。凄いことだと感じた。でも、ここでの「ゆず」二人と「観客全員」との「友達の唄」は最高の見せ場だったと思う。

今回は実は非常に曲順に煮詰まったのだ。それはゲリラライブの「渋谷 ON AIR EAST」でのライブを最後にリーダー北川悠仁が腹を決めたのだ。テーマが「盆踊り」と大きすぎたのと演奏曲のもってるエネルギーとライブをどう構成するかを悩んだのだ。そして、観客である一人ひとりどう投げ掛けていくのか。北川悠仁の悩みが日々深まっていったリハーサルであった。まぁ、その分、岩沢厚治中心にリハーサルが進む日々が多かったのだが、、、。それは北川君の遅刻が原因だから。

きっと次回の秋のツアーはもう少し「大人のゆず」がきっと観れるのだろう。例えば「ゆず」の本番の流れはいつも素晴らしいものだと思う。いろいろな「出し物」が出てくる。それはその裏で支えるスタッフの頑張りでもあると思う。でも、その分、切掛け切掛けが多いのも今後の課題なのだ。これからは「歌」をどう伝えていくかが課題だと思う。そして「流れ」をさえぎる必要は段々無くなってきた気がするし「歌」で聴かせることが出来ると思うから。だからといって今までの流れを無視する必要は無いと思うけど。その辺の内容がどう構成していくかだろうがここが難しいのだ。もうすぐ秋のツアーが待ってる。頑張らねば。

今回も毎回ツアー最終日に仕込む我々スタッフからの感謝の意地悪な仕掛けをやった。本当にゴメン。でも、お互いが良い関係でいたいし、ツアーという形態の最終日だからこそ出来る「楽しさ」が伝われば良いと思うんだ。それにその仕掛けに対するスタッフの入れ込みったら凄くて、打ち合わせの時の煮詰まりなんて考えられないくらいに名案が浮んでくる。そして、そのスタッフの手早さには僕自身が驚かさられるくらいなのだ。本当に素晴らしく良い連中だ!!

今回も素晴らしい思い出と共に今、終了した。参加した関わり合った全スタッフに感謝したい。ありがとうございました。そして、未知なるトライをした「ゆず」の北川悠仁、岩沢厚治には「お疲れさん、ご苦労様」と言いたいです。そして「ありがとう」もね。これからも宜しく頼みます。

そう最後に、僕はまだまだ彼らには負けないぞ!!だってライバルだからね。これからこれから、、。

さぁ、打ち上げだ!!

最終日西宮スタジアムにて



   
   2000/ 8/ 2 大きな仕事を終えて事務所にて



〜熱闘!Bomb踊り〜演奏曲目