上野洋子 『YK20〜20周年につき初ソロ〜』

上野洋子のデビュー20周年を記念して行われた、初のソロライブの仕事をした。スタッフもメンバーも初めて仕事をする方が多く、条件の全く違う会場での仕事のやり方、進め方にとても気を使った。初めての人との仕事は良い緊張感がある。自分自身がどう接して行けば良いのか迷ったり、自信を持って事を進めたり相談したり、、。良い経験が出来た。
メンバーは上野さん、武川雅寛(vln,etc)、鬼怒無月(g)、棚谷祐一(kb)、仙波清彦(ds)、中原信雄(b)、海沼正利(perc)。武川さんと仙波さんと棚谷君と中ちゃんは以前からの知り合いだったので懐かしさもあってリハーサルの初日から話が弾んだ。鬼怒さんと海沼さんは初めてだったので、場所の問題とかを説明しながら対応をお願いした。

上野さんはライブでの殆どの仕切りを含め出来る方で普段は自分でやってるとの事でしっかりしててやりやすかった。自分自身で楽器はアコーディオンを中心に、曲によってブズーキ、木製のスプーン、ティンホイッスル、リコーダーなどを使用して変拍子の嵐で音楽を表現した。これが上手いバンドだからリハーサルから凄い。久々に音楽だけでリハーサルが進む。本人のアレンジもしっかり出来てるので、1曲終ると的確に駄目だしがある。ソロはもっとこうして欲しいとか誰と誰とで構成するのとか、、。本当に演奏の上手い人達が譜面を見詰めて1曲1曲を丹念に練習していった。アンコール無しの全17曲。途中にはメドレーもあって良い構成になってる。メンバー1曲1曲が真剣に取り込まないとキメの多さと変拍子が待ち受けてる。面白かったな〜。

大阪の会場をムーンライダーズの時に下見に行ったのだがこれが見たら大変。東京のキネマ倶楽部は何度も仕事をしてるので感じが掴めてたが、1回目のスタジオリハーサル後に下見に行ったので各自の楽器の量も判っていたので実現不可能と思うくらいに会場の雰囲気も空間も違っていた。狭かったのだ。どう並べても楽器が入らない状況。会場の人に相談しても難しいと。音響の人達とも初めての仕事だったので相談しないと難しい状況だった。ただ、上野さんの様にしっかり話し合えば理解も出来、メンバーも話せば理解をしてくれるメンバーだったので自分なりのやり方で出来る可能性からトライした。

兎に角楽器と7人が並べる場所を作る所から大阪は始まった。バーのカウンターがあったりアップライトのピアノがあったり、、。でも悪い条件こそ頑張れば良くなると思い各スタッフとメンバーに協力してもらって大阪は素晴らしいライブが出来た。そうそう会場の若いスタッフも皆協力的で助かった。ありがとうございました。今度は飲みに行きます!


そして1日(実際は大阪から戻ってくるので次の日になる)空いて東京でのライブ。東京キネマ倶楽部は鶯谷にあって昭和のキャバレーを思い出させる感じでとても雰囲気がある場所。ステージ下手には中2階にサブステージ的バルコニーがあったり、2階席は円形でステージを丸く囲むようになっている場所にソファ席があったりする。ステージ後方の大黒は電動で飛び大きなスクリーンが壁にあり、映像も使える立派な会場である。僕は過去の今は無き日清パワーステーションの様でとても好きな会場である。

ここでのライブには大阪と違い多々演出を上野さんが考えた。映像。照明(大阪は殆ど出来なかった)そしてバルコニーを使ったダンサー。これらの演出を曲に合わせてやる事が以前から決まっていた。だが問題は当日しか全てを使ってリハーサルが出来ない事。そして上野さんを含めてこのバンドはリハーサルでも全ての曲を演奏する自称体育系なのである。普通、二日目となると問題点とその日の重要なポイントを絞ってリハーサルをするものなのだが、、。演奏が大事でどの曲も難しく流れもあるので通しリハーサルになってしまうのだ。

映像と照明はどちらも「光」なので共存させるのが難しい。大黒も上げるタイミングが必要になる。映像もどの様な映像なのか当日まで判らなかった。そしてダンサーは色々な事があり当日の開場1時間前に急遽来る事になった。でも、でも大丈夫だった!皆、大人だった。話し合えば皆、協力的で各自がしっかり自分の仕事をこなしたと思う。感謝。

ダンサーの方も無論初めてだったがこちらの要望を表現出来てたと思う。何しろ最後は時間との戦いになってしまった。開場時間が迫り、外では多くの観客が待っていた。

それでも本番は全ては上手く行った。映像も照明もそしてダンサーも上手く行ったしライブも良かった。個人的には大阪の緊張感のある小さな小屋でのライブの方が印象が強かったが、東京はしっかりとしたショウだったと思う。そうそう映像もしっかり撮ったのだ。今後編集されて商品になれば楽しみ。きっとその頃は細々した事は忘れてると思うけど懐かしいだろうな〜。


最後に来年もまたライブが出来たら同じスタッフ、メンバーで出来たら嬉しいです。今回初めて出会えた多くの方々とまた仕事が出来る事を楽しみに切磋琢磨します。

上野さんまたライブやりましょうね!



                    2006年12月16日 東京の自宅にて