恐いと思った事4

1995年4月9日  天気晴れ  通算203本目
ポイント:大瀬崎・柵下  目的:ファンダイブ

柵下は大瀬崎の外海の中でも、岬の先端に近い所で、波がある時はEN・EXが困難であり、
流れが有る時も多く、ここで潜る事の判断は特に慎重にすべきポイントだと思います。
ソフトコーラルが多く、魚の群れも濃く、
珍しい小さな生き物も多く、人気の有るポイントでもあります。

この日で僕は柵下に潜るのは11回目でした。
通算70本程の経験の有るバディと僕、2人で潜りました。
EN前に陸上から観察した所、風が少々有り、
海面はやや波立って、波うち際にも波がありましたが、
2人だけでしたから、自分と相手だけを気にしていれば充分と思い
「大丈夫」と判断しました。

ゴロタ石の上にコンクリートのスロープが有るEN・EXポイントからエントリー。
波をかわしながら問題無くエントリーしました。
潜降し真っ直ぐ沖へ向かい、水深13メートル程で砂地に変わります。
流れは、ほとんど有りませんでした。
いつものように右側へ、岸と平行に岬の先端側の方向へ進み、
深度も少しずつ落として行きました。
最大24メートルまで行き、残圧120になった所で折り返す事にし、
水深15メートルまで上がりました。
そこから、EN・EXポイントへ向けて、戻り始めました。
水深も少しずつ上げて行きました。

水深5メートル程まで来ると、うねりがかなり強く感じられました。
岸と平行に泳いで、EN・EXポイントを目指す僕達を
じゃまするような向きのうねりでした。
なかなか前に進む事が出来ず、EN・EXポイントまで、たどりつけるか?
不安になってきました。
EN・EXポイントまで、どのくらいあるのか確かめようと浮上してみました。
かなり高い波が立ち、水面は大きく上下していました。
波は、帰ろうとする僕らに向かってくるような向きで、押し寄せてました。
EN・EXポイントは、まだだいぶ先でした。
水面移動で進める状態でもありません。
深い所へ逃げれば、うねりは避けられたでしょうが、
残圧と無減圧時間を考えるとそれも出来ません。
それよりも、時折視界をさえぎる波の高さに
「早く、水から上がらないと」というあせりを感じました。

僕らは、岸と平行に進む事はあきらめ、まっすぐ岸を目指して水面移動を始めました。
その間にも、波に乗せられEN・EXポイントからは、離れて行きました。
岸までたどり着きましたが、打ち寄せる波が強く、
ゴロタ石の上を転がさせられながら、よじ登るようにEXしました。

EXしてみると、風がとても強く、高い波が岸に向かって斜めに打ち寄せていました。
エントリーから30分程度、後の事なのに、
エントリーの時と海の様子は全く変わっていました。
EN・EXポイントから離れた所に上がってしまった為、
歩きにくいゴロタ石の上、かなり長い距離を歩いて戻りました。

ほんのわずかの間に風や海の様子は変わる。
その事を僕らは忘れ、少人数だから何とかなると甘く考えていたのです。

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