反常連主義

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「常連」とかいう輩が大嫌いだ。

個人的に熱心に通う店というのはあるが、そこで店員から「いつものやつ?」とか「今日は早いね?」などと言われようもんなら、その場で「ゲエッ!」ってゲロ吐いてもう二度と行かないね、そんな店。ゾッとするぜ。

俺的に理想なのは「20年間毎日欠かさず通ってくる客」だろうと、「完全な一見さんでしかももう二度とこの店に来ることはないだろうと思われる明らかに通りすがりで時間潰しに入っただけの客」だろうと、まったく同等のサービスを提供する店である。そもそも商売って、そうあるべきだと思わんか? 資本主義ってそうじゃないのか? 俺が店やってりゃそうするけどね。

だってそれってさあ、一見の客の方に失礼じゃん? 払ってる料金は同じなんだろ? だったら受けられるサーヴァイスってもんも同じじゃなきゃおかしいんじゃないか? 特に俺は店員から馴れ馴れしくされることが決してサービスだとは思わない客だからなおさらだ。うぜえ。放っといてくれ。こっちはこっちで、ひとりで勝手に楽しくやってるから。それでいいから。

そんな風だから大規模な量販店やチェーン店、ファーストフードの類を好む。アレはいいよねー、完璧にマニュアル通りで、マシーンの様なさわやかさで客を無視してくれる。イヤミで言ってんじゃないんだよ、本気でそう思ってるんだ。実に落ち着くよそういう店は。

例えば食い物屋なら、俺が求めているのはメシと座るイスだけ。それ以外に金を払う気はないし、払った覚えもない。だから俺に話し掛けるな。ほっといてくれ。野球の話なんかするな。黙ってメシを食わせろ。俺は腹が減ってるからここに来たんだ。

そういう粘着質のサービスを求める客がいるのは知ってるし、理解もする。当然のことだとも思う。だけどすべての客がそうだとは限らない、ということも知っておいて欲しい。ほんとコレ、切なる願い。

信じられないが、時々「俺はここの常連なんだけどさあ……」などとヌカしつつ、俺のパーソナルスペースを侵そうとするバカに出くわしてしまう。そんな時は自閉モード全開。閉塞して引き篭れ俺! 世界の終わりを願え! 絶望と諦念に身を委ねろ! そんなことをブツブツ言いながらじっと身を固くする俺。

俺の許可もなく、勝手にその場を仕切るなバーカ! 常連だからなんだってんだよこのターコ! えらそうな態度をとるなこのイナカもん! ああそうかい、ここはお前が常連やってる店かい。だったら看板にそう書いとけ。知ってりゃこっちも寄りつきゃしねえよ。小さなちいさなコミュニティで、死ぬまで幸福なお山の大将やってろ。けっ。


注:「店」を「掲示板」と読み替えるのも可。いろいろ人付き合いがあるからこういうこと言いにくいけど、でもやっぱり基本的に俺はそう。


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