ストーンズ反省会 in Tokyo

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我々取材班はフォーシーズンズホテルに潜入、ストーンズ反省会の盗聴に成功した。

以下のレポートは、そこから得られた貴重なものである。

 3/12 3/14 3/16 3/17 


3/12

「おいロニー、今日のあれはどういうつもりなんだ」

「ななな何がですかミックさん」

「とぼけてもダメだ。今日はお前、キースの前を3回横切ったろう」

「え?!だってあれは、あれはだって上手のお客さんにもサービスしようかな、なんて思いまして…」

「いいか、日本とスペインではキースの人気が高いんだ。ショウの前に打ち合わせしたろう。

ほら日本向け資料の4冊め、394ページにちゃんと書いてある。そのキースの前を3回も横切るなんて

何を考えているんだ。IT&T社の最新のマーケティングによれば、これで日本におけるキースの人気は

0.027ポイント下がったことになる。お前はストーンズの一員としての自覚がないのか」

「そ、そんなこと言われたってミックさん、あんな膨大な資料全部見る時間なんて…」

「温泉行ったり、天ぷらうどん食ってるヒマはあるのか。それにあの、へたくそな絵は何だ。

それだから自覚が足らんというのだ。なあ、ダリル」

「ええ、資料は全部把握してますよ。ツアーに参加する以上、最低限のことはしてますから。

(読むわけねえだろバカミック。俺はキースとやれりゃあそれでいいのさ)ねえ、キースさん?」

「太陽と月とギター、俺はそれだけさ。ショウのことはミックに任せてるよ」

「…………………………」(チャーリー、遠く虚空を見つめる)

「そういうことだロニー、明日までに反省文を書いてこい。5000語だぞ」

「……わかりましたミックさん。ほんとうにすいません」

「俺達ストーンズはよりよいショウを作り上げなければならない。そのための努力を怠るな」

「はい、すいませんでした。失礼致します」

「ああ、今日はお疲れ」

「じゃあなロニー」

「おやすみなさい、ロニーさん(けっバカロニーめ。いつかメンバーに食い込んでやる)」

「…………………………」(チャーリー、遠く虚空を見つめる)


3/14

「おいロニー、今日のあれはどういうつもりだ」

「ななななな、何がですかミックさん」

「おまえ今日は2回も、あおむけにひっくり返ってギター弾いてたろう。

あれはどういうことだ。おまえはそんなに体力がないのか」

「ああああれはですねミックさん、ああいうのもカッコいいかな、とか思ったりしてですね…」

「ショウに対して前向きなのはわかる。しかしプロデュースというのはトータルバランスを考えて

行うべきものだ。事前になぜひとこと言ってくれなかったんだ。打ち合わせしてくれれば

"Out of control"の振り付けを変更していたのに」

「いやあれは最高ッスよ、あんな踊りできるの世界でミックさんただ一人ですよ」

「とにかく、仰向けに寝るのはマズかった。アド・マックウェル社のリサーチによると、

『ストーンズは年寄りで体力がないか』という質問に『Yes』と答えた人が最大で0.19ポイント

増えている。また『ロニーは一番年下のクセにもうバテたのか』に『Yes』を回答した人が

0.023ポイント増えている。俺達ストーンズはよりよいショウを作りあげるため

前進しなければならない。反省文10000語だ」

「わかりました、すいませんミックさん」

「それからお前、"Jumpin' Jack Flash"のときにリサにちょっかいを出して怒られてたな。

ちゃんと謝っておくんだぞ」

「いいのよミック、私は気にしてないわ。犬に吠えられたようなものよ」

「そうはいかん。我々はよりよいショウを作っていかねばならんのだ。

変なわだかまりは残すべきではない」

「ごめんよ、リサ。もうあんなことしないからさ」

「いいのよロニー、もう気にしてないから。気にする意味もないし」

「よし、それじゃあ仲直りだ。ロニーは反省文5000語な。みんな、他になにかあるか?」

「俺はもっといいベース弾くようにがんばりますよ(早く終われよクソミック)」

「俺がギターを弾くんじゃない。ギターが俺を弾かせるんだ」

「…………………………」(遠く虚空を見つめる)

「よし、それじゃあ今日は解散だ。すまないが、これから日本語のレッスンを受けなきゃならない」

「お疲れ様でしたミックさん。16、17日は頑張りますから」

「その意気だぞロニー。反省文を忘れずにな。おやすみ」


3/16

「ほらダリル、カッコいいだろう。金ベロのストラップだぜ。ハラジュクの"Gimmie Shelter"で

買ったんだ。3日連続で使ってるのに誰も誉めてくれないから自分で言っちゃったよ」

「…もしかして自腹ですか、ロニーさん」

「え!? もしかして貰えたの? そんなの聞いてないよう」

「それこそ資料に書いてありますよ」

「きついなあ、ダリルも。俺はストーンズの正式メンバー様なんだぜ。ミックやキス公と同格だぜ。

もうちょっと口の利き方を考えてもらいたいもんだな」

「…………(ダリル、急に表情こわばる)」

「今日だって俺が下に降りてサービスしてたらさ、ミックの野郎まで降りてやんの。

カチあっちゃマズいだろっての。ま、俺は大人だから譲って先に上がったけどな」

「それくらいにしといた方がいいんじゃないですかロニーさん」

「ミックの色のセンスもどうにかなんねえかなあ。黄色のシャツの下に黄色のTシャツ着るかあフツー」

「…………………………」

「キースもキースだぜ。"Honky Tonk Women"のピアノソロってチャックの唯一の見せ場なのに

あの野郎かならず絡んできやがってさあ。調子こいてキックかましてんじゃねえよ。

たまにならいいけどさあ、毎回やってりゃ予定調和じゃんよ」

「ロニーさんだって絶対ボビーのとこ行くじゃないですか。

キースさんとチャックが絡むより客の反応はよくないみたいだけど」

「うるせえな! ミックのクソガキが泣いて頼むからやってんだよ。偉そうに俺に指示しやがってさあ。

だいたい最後の紙吹雪だって多すぎだよ。『ひょうきんベストテン』かっつーの。

前が見えねえってアリーナの客が泣いてたぜえ。"Brown Sugar"で"Yeah, Yeah, Yeah, Hoooo!"の

タイミングがいまいちかみ合わねえのも無理ねえよ。いくら熱心な日本のファンでもな」

「そろそろ反省会を始めようか、ロニー」

「ミミミミミミックさん後ろにいるなら言ってくださいよういつからいたんですかあ」

「『ミックやキス公と同格』あたりかな。身内の辛辣な意見はありがたいよロニー。

俺達は前進し続けなければならないからな(ギロリ)」

「かかかかなわないなあミックさんには」

「それからそのストラップ、明日は私が使わせてもらおう。ロニーは別のを用意しといてくれ」

「いやこれ、僕が自腹で買ったもんで、スタッフとかに言えば同じものが…」

「いやそれがいい。わかったな。さあ反省会を始めよう」

「…わかりましたミックさん」

以後、盗聴に失敗。なおロニーが17日早朝、原宿でシャッターをガンガン叩いていたとの情報あり。


3/17

「だいたいさあ、ミックもキースもわかってないよヒック。人のストラップ盗りやがってさあ。

俺がストーンズ支えてるってえのがわかってないよ全くグビグビ。

でもあれだよな、ミックもさすがにトシだよな。"Out of Control"の電流踊りだって、

テンション高かったの初日だけだもんな。曲終わった後ゼェハァ言ってるし。

キースも何だよ。昨日のアンコールで着てたあの変なシャツ、今日のオープニングでも着てたじゃん。

金がねえ訳じゃねえだろうにあのしみったれ、大体茶色にオレンジの水玉ってどういうセンスだよ。

おまけに今日のアンコール、ラスタのタンクトップはわかるけど死ぬほど似合ってねえよ。

客がゲラゲラ笑ってたぜえ。止める奴いなかったのかよ。

チャーリーは相変わらず部屋着でステージ出ちゃうし、ダリルも普段着そのまんまだし。

みんなルックスも計算しなきゃなあ。俺なんか頭でかいから必死で肩パット入れまくってんのにさあ。

あとあれだ、ボビーもいい加減、人毛の帽子とれっての。ちょっと俺よりストーンズ歴長いからって

いい気になってんじゃねえよあのハーゲ!!」

「あれロニーさん、反省会行かなくていいんですか」

「ボーヤのくせに偉そうな口をきくな! いいかよく聞け、今日は反省会はなしだ。

ミックの野郎がへばってるからよう、俺に休ませてくれって泣きついてきたんだよ。

ま、トーキョーも一応終わりだし、今ごろマッサージでも受けてんじゃねえのかあのクソガキ、

ヘンテコな白のバスローブでも着てさあ、けっ」

「そんなことないですよう。俺もこの片づけ終わったら行くことになってますし。

もうとっくに始まってるはずですよ」

「え…………………………そんな、そんな……………」

 

 

 

 

 

 

 

ひどいよミックさ〜〜〜〜〜〜〜ん!!


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